修士論文研究計画書
06M3066
森本 耕平
 
研究テーマ『金融所得課税一元化による二元的所得課税』

目次
第1章 はじめに
第2章 日本の所得課税の現状
第3章 主要国の金融所得課税税制の比較
第4章 おわりに


問題意識
平成17年度の税制改正に関する答申において、「近年において、少子・高齢化の進展などから貯蓄率が顕著な低下傾向を示す中、経済の活力を維持するためには、現存する金融資産の効率的な活用が鍵となっている。」と述べている。また、昭和24年のシャウプ勧告では、「総合所得税を中心とした税体系の構築をめざした〜(中略)戦前から国民貯蓄組合制度,郵便貯金の非課税措置はシャウプ勧告後も継続された.」というように、日本では、高い貯蓄率のストックを築き上げていた。しかし、少子高齢化が進むにつれ高い貯蓄率が低下してきている。その状況の下で、貯蓄から投資へという動きが加速している。
そこで、投資を行いやすくするために、金融所得課税の見直しを考える必要がある。



先行研究
森信茂樹(2002)では、「高齢化を迎えて益々貴重なわが国の貯蓄・資本に対してどのような課税をする事が経済効率にとって望ましいか」という問題を提起し、公平・中立・簡素の観点から金融所得課税一元化を主張している。
馬場義久(2004)では、「金融所得課税一元化にあたって、金融所得税制に税収調達機能を割り当てるのは誤りである。同税制は課税の中立化を最大目標とし、税収調達機能は勤労所得課税制に割り当てるべきである。」としている。
国枝茂樹(2004)では、「各種の資産からの所得に一律の税率での課税を行う形で金融所得課税の一体化を図ることが考えられる。」としている。

分析手法
日本の金融税制の歴史を踏まえ、金融所得課税一元化をする場合に主要国の金融税制を比較し、問題点を把握することにより、金融所得課税一元化に向け所得再分配の度合いがどの様に変化していくかの分析を行う。
今までは家計調査では給与所得をベースに調査が行われてきたが、これからは資産性を考慮にした上での所得、つまり金融所得を把握する必要がある。
その金融所得の把握するために貯蓄動向調査(資産の残高×利子率、有価証券×一定の収益率)を推計し分析を行う。
また、日経平均の上昇率を把握する上で金融資産の動きと所得階級別の動きの分析を行う。

参考文献
本間正明、跡田直澄編 (1989) 『税制改革の実証分析』  東洋経済新報社.
森信茂樹 (2002) 「二元的所得税とわが国への政策的インプリケーション」『ファイナンス・          レビュー』 第65号. 
馬場義久(2004) 「金融所得課税一元化のあり方について」 社団法人 日本租税研究 『金 融所得課税の一元化に関する提言』  社団法人 日本租税研究協会.
国枝茂樹(2004) 「金融所得課税一体化の論点」社団法人 日本租税研究協会 『金融所得課 税の一元化に関する提言』 社団法人 日本租税研究協会.