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AI実習

近年,大量のデータの収集が容易になったこと,コンピュータの処理能力が大幅に向上したことから,人工知能(AI:Artificial Intelligence)が急速に発展し,世間の注目を浴びるようになった.特に,深層学習を利用すると,将棋や囲碁といったボードゲームではトッププロも含め人がAIに勝つことができなくなったり,ディープフェイクなどのように人目では全く区別がつかない別の人物画像をAIが作り出したりと,人間では到底できないようなことがAIにはできるようになった.2030年ごろには日本の労働人口の49%がAIやロボットで代替可能という試算もあるぐらいである.
ただ,そのようなニュースを聞いて,「AIはすごい」「AIなら何でもできる」と勘違いしている人が多い.AIは魔法の杖ではなく,AIにも得意・不得意なことや限界はある.人ができることのすべてがAIにできるわけではない(逆もしかり).現状ではそうしたAIの中身に対する理解が不十分であり,ただAIに任せたらよいという誤った認識のままとなっており,結果,人がAIを使いこなすことができない状況になっている.
本実習では,現代のAIの中核技術である機械学習を実装し試すことで,AIは何ができて何ができないのか,AIの本質はどこにあるのかを理解し,AIリテラシーを高めてAIを使いこなすことを目的とする.最初にAIやプログラミングの基礎を説明した後,機械学習の各モデルを実装し,様々なデータに対して実行してその結果を検証する.例題となるデータには,表形式で表される一般的なデータから画像・文字といった各種メディアのデータを取り扱う.その後,実際に各自で用意したデータを用いて自身で機械学習を実行し,結果を検証する.
また,本実習では取り扱わなかった,現代のAIを構成する最先端の技術である深層学習の利用方法も紹介する予定である.

到達目標

1)知識・技能の観点

2)思考力・判断力・表現力等の能力の観点

3)主体的な態度の観点

授業計画

第1回 ガイダンス,AIの歴史,機械学習の適用先と実例紹介
第2回 機械学習を行う前の事前準備(1):Pythonによるプログラミング
第3回 機械学習を行う前の事前準備(2):ライブラリの利用方法とデータの読み込み・可視化
第4回 機械学習を学ぶ〜機械学習の基礎的なアルゴリズムを学ぼう〜(1):線形回帰,正則化
第5回 機械学習を学ぶ〜機械学習の基礎的なアルゴリズムを学ぼう~(2):ロジスティック回帰
第6回 機械学習を学ぶ〜機械学習の評価方法と過学習を学ぼう~
第7回 機械学習を試す〜機械学習の代表的なアルゴリズムを試そう〜(1):サポートベクトルマシン(線形,カーネル法)
第8回 機械学習を試す〜機械学習の代表的なアルゴリズムを試そう〜(2):ランダムフォレスト,kNN
第9回 機械学習を試す〜機械学習の代表的なアルゴリズムを試そう〜(3):テキストデータの扱いとナイーブベイズ
第10回 機械学習を試す〜機械学習の代表的なアルゴリズムを試そう〜(4):画像データの扱いとニューラルネットワーク
第11回 機械学習を使う〜自分でAIを作ろう〜:AIの成功例・失敗例を学ぶ
第12回 機械学習を使う〜自分でAIを作ろう〜:学習のための画像データを収集し加工する
第13回 機械学習を使う〜自分でAIを作ろう〜:様々な機械学習アルゴリズムに適用して結果を考察する
第14回 機械学習を使う〜自分でAIを作ろう〜:失敗原因を取り除いてよりよいAIを作る
第15回 総括,課題に対する総評,深層学習に向けて

授業時間外学習

講義中にはモデルの解説やコードの説明,結果等を説明することになるが,AIは何が得意で何が不得意かを理解しようとしたら,自身で様々なデータを試すことが一番である.理解を深めるためにも,授業で説明したコードを使って別のデータで試したり,教科書にあるコードを使って事前に試してみたりと,予習・復習を各自でする必要がある.
授業時間中は,コードの実行や結果の確認,授業内の課題などに注力することから,場合によっては,機械学習のモデルの説明は,事前に動画を公開して行う.その場合は,履修者は事前に動画を見て予習する必要がある.また,授業内容は,復習用のため録画する予定である.
なお,本実習ではプログラミング,つまり自分でコードを書いて実行するという形になる.コード自体,非常に簡単なものであり,コードも関大LMSにて公開するものの,大多数の学生にとっては初めてのことと思われるので,操作に慣れていない履修者は操作方法を復習する必要がある.

成績評価の方法・基準・評価

定期試験を行わず,平常試験(小テスト・レポート等)で総合評価する.

平常成績(30%),レポート(70%)の予定.レポートの内訳は,小レポート2回(20%×2),大レポート1回(30%)の予定.
総点が60点以上で合格とする.各観点からの評価としては,1)知能・技能の観点および2)思考力・判断力・表現力等の能力の観点を評価するレポート(70%),3)主体的な態度の観点を評価する平常成績(30%)となる.ただし,欠席(遅刻も含まれる)が4回以上の場合,もしくはレポートが一つでも未提出の場合は,原則として不可とする.

教科書

説明に利用する資料やサイトのURL等はすべて関大LMSにて公開するが,基本的には教科書に基づいて説明するため,履修者は購入しておくこと.紙媒体,電子媒体,どちらでも可.
なお,本実習において対象としている機械学習のアリゴリズムはすべて教師あり学習(回帰:regressionや分類:classificationと呼ばれる問題が対象)に分類されるものである.そのため,教師なし学習(クラスタリング:clusteringや次元削減:dimensionality reductionと呼ばれる問題が対象)は取り扱わない.

参考書(配布資料では物足りない・自主学習したいという人へ)

様々な機械学習アルゴリズムを知りたい,Pythonを勉強したいといった履修者は,上記の参考書で勉強することをお勧めする.機械学習や深層学習を数学的に理解したい,実装したいという場合は,実習内で参考書籍を紹介する.
なお,書籍の場合,特に実装関係は情報が古くなることから,インターネット上のサイトやマニュアルを参照して齟齬がないか確認すること.

フィードバックの方法

授業中,理解が不十分であったり,実習が進められていない場合は教員・TA・SAが補佐することで対応する.
授業終了後,反省点や理解が不十分であった箇所を問うためのミニッツペーパーを行い,履修者には必要に応じて提出してもらう.そこで挙げられた疑問点や問題点は,次回の授業時にまとめて回答する.
レポート課題に対するフィードバックは,最終授業日に総評として返答する.

担任者への問合せ方法

オフィスアワー
・授業の前後で対応する.
その他
・学部HPに公開されているメールアドレスもしくは関大LMSの機能を利用すること.

備考

※BYOD[ノートPC]の必要性について

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