M情報セキュリティ特論(2017年度)
学部配当科目「情報セキュリティ論」では,多岐にわたる情報セキュリティの内容を,網羅的に説明した.本講義では,テーマを絞り,「数学論」「マルチメディア」「プライバシー」「機械学習」「法律」から2つのテーマに絞り,輪講形式で議論を進める.
- 「数学論」は,情報セキュリティ技術の基礎となる数学を学ぶ.具体的には,公開鍵暗号方式の一つであるRSA暗号や画像・メディア解析を理解するために,群論やフーリエ変換・ウェーブレット変換などを扱う.
- 「マルチメディア」は画像・映像に利用される情報ハイディング技術(ステガノグラフィ・電子透かし)や匿名通信技術を取り扱う.なお,これらの技術を理解するためには,フーリエ変換・ウェーブレット変換などの数学が必須となる.
- 「プライバシー」は,近年話題となるプライバシーの定義からプライバシーを保護する技術(データの匿名技術)まで、様々な角度からプライバシーを議論する.
- 「機械学習」は,最新の深層学習も含め,データ解析に必須となる機械学習全般をプログラミングしながら学習する.
- 「法律」は,個人情報保護法を初めとする情報に関する法律を取り扱う.
なお,5)を除いて,1),2),3),4)のテーマに関しては,状況に応じてプログラミングも行う.
到達目標
本講義の到達目標は,選択したテーマの内容を正しく理解し,一般人にも説明できるようになることを目標とする.
授業形式
輪講形式ですすめるため,次回講義までに指定された範囲を読解する.また,各講義終了後,進捗状況に応じて課題を課す.
参考書
- S.C. コウチーニョ『暗号の数学的基礎』(Springer・フェアラーク東京)2001年
- 金谷健一『これなら分かる最適化数学ー基礎原理から計算手法までー』(共立出版)2005年
- 金谷健一『これなら分かる応用数学教室ー最小二乗法からウェーブレットまでー』(共立出版)2003年
- 松井甲子雄,岩切宗利『情報ハイディングの基礎―ユビキタス社会の情報セキュリティ技術』(森北出版)2004年
- 青柳武彦『情報化時代のプライバシー研究』(NTT出版)2008年
- 中井悦司『ITエンジニアのための機械学習理論入門』(技術評論社)2015年
- 小向太郎『情報法入門【第3版】』(NTT出版)2015年
他の参考書は適宜紹介する.
備考
- 指導教官との話し合いの結果,選択することになるかと考えられるが,事前にどのテーマをしたいのか(もしくは別テーマか)を把握したいため,可能なら受講前に一度,河野まで連絡をお願いしたい.
- 受講人数にもよるが,場合によっては受講者が希望する日時に講義日を変更する場合がある.
- 基本的に理系の講義であるため,数学・工学(プログラミングなど)の理解が必要となる.特にテーマによっては最新の研究を扱う場合があるため,きちんと論文が読める(数式が読める,英語が読める)必要がある.