研究内容 [Research Topics]

* 熱研(小田班)の取り組み

Highslide JS
1500℃級ガスタービン
(提供:三菱重工業)
★クリックで拡大します

*
ガスタービンの羽根車
(提供:三菱重工業)

当研究室では,人類社会が直面する地球温暖化問題,エネルギー問題の解決に貢献することを目的として,各種エネルギー・動力機器(例えば,発電所で活躍するガスタービン発電機や航空用ジェットエンジン,自動車エンジン,ボイラー,空調機器など)の『高性能化』,『省エネルギー化』,『環境負荷低減』に関わる研究を,主に熱流体工学,燃焼工学的な観点から行っています.

例えば,ガスタービンでは天然ガスを燃焼させて得た『熱エネルギー』を如何に効率よく発電機を駆動するための『力学エネルギー』に変換するかが高性能・省エネルギーを実現するための鍵となりますが,このためにはできる限り高温・高圧の燃焼ガスでタービンと呼ばれる羽根車(右下写真)を回す必要があります.現在,この温度は1650℃にも達していて翼材料の耐熱温度をはるかに超えているため,タービン翼には伝熱工学・流体工学・乱流工学・材料工学など機械工学の粋を集めた冷却技術が使用されています.当研究室では,さらに高温の1700℃超で作動するガスタービンを実現するため,最先端の光学計測技術(感圧塗料,感温塗料,蛍光油膜法,粒子画像流速測定法など)やスーパーコンピュータを利用した熱流体シミュレーション技術(DNS, LES, RANS)を駆使して,実験と数値シミュレーションの両面から新たな翼冷却技術の開発,ならびにタービン翼列内の複雑な熱流動現象の解明と制御に取り組んでいます.

このほか,地球環境問題と関連して,ボイラーでは燃焼によって生じる有害な窒素酸化物の生成をできるだけ抑える燃焼法の開発が重要となりますが,ボイラー内部の燃焼・伝熱・流動現象は,空気と燃料の混合問題,燃料と酸化剤(酸素)の化学反応による発熱と燃焼生成物の生成,燃焼ガスと水管との伝熱現象,水管群周りの流動現象といった複数の物理・化学的な現象が入り乱れる極めて複雑な現象であるため,目標とする燃焼技術の開発は容易ではありません。そのため,縮小模型を使った水槽実験による実験的な検討や,数値シミュレーションによる燃焼・伝熱・流動現象の解析を通して,効果的な燃料混合法や燃焼技術の開発に取り組んでいます。

このほか,往復式内燃機関(自動車エンジン)のさらなる高効率化(低燃費化)を目指して,燃焼室やシリンダ壁面からの熱損失低減を目指す基礎研究にも取り組んでいます。具体的には吸排気に伴う作動ガスの急加速と急減速によって生じる複雑な乱流伝熱場の素過程を調べるため,乱流場に存在する最小スケールの渦運動を解像する直接数値シミュレーションに取り組んでいます。計算には大阪大学のスーパーコンピュータを利用しています。

Copyright (C) 2021 Thermal Engineering Laboratory, Kansai University. All rights reserved.