2005年度インターンシップ/スタディツアー感想


* 関西大学商学部長谷川ゼミの主たる研修先はテクノセンター(日技城)ですが,これに代えて(加えて)ゼミとしてのとりくみの一環として他のインターンシップやスタディツアーに参加するゼミ生もいます。 ここではテクノセンター以外のインターンシップやスタディツアーに参加に参加したゼミ生の感想を紹介します。

旅行業界の華やかさの裏側

研修種別:インターンシップ
研修内容:旅客サービス(添乗業務・ミーティング業務)
研修期間:2005年10月2-6日

旅行業界で働く人

 最近人気の旅行業界に、私も憧れていました。自分が旅行したときに、添乗員を務めてくれていた人がとても気の利く人で感銘を受けたということもあり、お客様の旅行をサポートするという添乗員の仕事に興味がありました。お客様に快適な旅行を送ってもらうために、添乗員の人が大変な努力をしているだろうとは予想していましたが、今回の研修で、少しですが旅行業界の苦労の裏側に身をもって知ることができました。

 私が今回お手伝いさせてもらった仕事は、添乗員の仕事ではありませんでしたが、普段添乗員の業務を行っている方からお話を聞く機会がありました。一日一緒に行動していた入社してまだ半年というEさんは英語が話せ、しっかりとした人でした。旅行業界で働きたいのならば、必ずしも語学力が必要なわけではないとEさんから聞きましたが、英語でみんなをまとめていくEさんの姿を見て、話せたほうがいいと感じました。

 Eさんが働いている会社は、添乗員の仕事だけではなくて、今回のような留学生を送り出すお手伝いなどもしていて、前日に翌日の勤務場所を伝えられることも度々あるそうです。私がEさんと一緒に行動した日、Eさんは前日の夜に「明日は9時に新大阪に行ってください」と会社から連絡があっただけで、何をするか伝えられていなかったそうです。仕事は昼ごろ終わり、私はそのまま帰らせてもらったのですが、Eさんはそれから関西空港に向かいました。

 私は今まで旅行業界の華やかな部分しか見ていませんでしたが、実際に働いている人からお話を聞くと誰でもできるような甘い仕事ではないと知ることができました。

英語を話せない自分

 今回私がお手伝いした、日本へ留学してくる海外からの留学生をそれぞれの留学先の大学に送り出すという仕事は、留学生が飛行機から降りてくるのをずっと待っているのも大変でしたが、降りてきた彼らを連れてバスに乗せたり、ホテルにチェックインしたりするときに色々と質問が出ても聞き取れなかったり、うまく英語で表現できなかったりと、もどかしさを感じました。日本語を話せる留学生もいましたが、話せない人が多かったように思います。

(3回生M,2005年11月9日)


 

企業でも国でも他の誰かでもなく、私が変わり社会を変える。

研修種別:スタディツアー
研修内容:貧困問題と国際協力
研修期間:2005年 9月1-12日
研修場所:フィリピン(マニラ他)

 私の当初のスタディツアーに参加した目的は、世界に存在する貧困の現状をこの目で見て実際に自分で体感し、途上国に存在する様々な問題の中で自分に何ができるのか、どのような問題に興味があるのかをはっきりさせるというものであった。また、私は途上国の問題を考えるときにボランティアやNGOとしてではなく、継続できるビジネスとして解決していくことが大事だと考えているので、自分の参加するNGOの限界・問題点または存在意義を考えたいと思いツアーに参加した。
 現状をこの目で見たいと思っていたが、「このツアーはフィリピン人を観察するツアーではない。日本人の研究の対象としてフィリピン人がいるわけではない。フィリピン人と日本人がお互いに学びあえるツアーにしてほしい」という言葉を聞いて、ただ現状を見るという受身の姿勢にならず、よりその現状を深く理解するために何事にも積極的になろうと思った。百聞は一見に如かずというが、見るだけではなく、実際に見てそこから何を感じどう理解するのかが大事だと気づいた。そこで自分から質問するなど常に「なぜ」という思いを大切にし、わからないことがあれば自分がわかるまで聞こうと思った。
 フィリピンに存在する問題は、仕事がない・教育が不十分・貧富の差が激しい・政府の汚職・大土地所有制など様々だが、その全てに関わりその根底にあるものは貧困問題が存在しているということであった。では何故、今現在紛争・戦争をしているわけでもない、エイズが蔓延しているわけでもない、土地が極端にやせ細っているわけではないフィリピンがこんなにも貧困にあえいでいるのだろうか。アフリカであればわからないでもないがフィリピンといえば、セブ島・バナナ・マンゴーなど豊かなイメージがあるのに何故、貧困問題が存在するのだろうか。多くの日本人はフィリピン産のバナナを買うことでフィリピン経済に貢献していると思っているだろうし豊かな土地があると想像する。しかし、現実にはフィリピンの土地でできたそのバナナの利益は、欧米・日本人の大企業の手に入っているのだ。フィリピンの土地でできたフィリピン人の手に入るべき利益を大手外資系企業が奪っているのである。農作物だけでなく、機械類に関しても同じことがいえる。海外の大企業が低賃金で現地の労働を搾取しその利益を現地に還元することをしていない。本来なら、フィリピン人が手に入れることができたであろう利益を日本の企業が奪っていることは事実である。なんて日本の企業は卑劣なのであろうかと疑ってしまう。しかし、その製品を買っているのは私である。私たちはモノを手にするとき安いから買う。それがどのように作られたのか知らないから、知りようがないから安ければ喜んで買う。売れるから企業はまた作る。誰か消費者がそれはおかしいと言い、その製品は買わないという姿勢を見せない限りそのような企業は存在し続ける。企業に文句を言う前に自分のモノを買うときの価値基準を変えることからするべきだと感じた。フィリピンの人が最低賃金以下での生活を余儀なくされているのには、安ければ買うという行動をとっていた私の責任でもある。
 豊かな国日本は途上国フィリピンにODAという方法で援助を行なっている。毎年莫大の資金がフィリピンへ流れている。これだけを聞けば、私たち日本政府は良いことをしているような気になる。実際私もODAに対し疑問を持ったことはなく、いいことをしていると思っていた。が、実際にODAは全く現地の問題解決に役に立っていない。現地の女性が、私たちの政府は金持ちの金持ちによる金持ちのための政府ですと言ったように、日本政府からのODA資金の半分以上を現地政府が汚職している。しかも、貧困にあえぐ地域に日本のODAで作られた機能していない消防署があったように、本当に現地の人が望むものにそのお金が使われていない。日本政府はただ莫大なお金を渡しているだけで、渡しっぱなしで後は知らないという態度なのである。この現状を知れば日本国民は、税金の無駄遣いだと国に怒るに違いない。けれど、自分たちの税金がどう使われているかその現状を知らないから怒らない。だから、政府も改善しようとはしない。形だけの援助である。ODAが機能していない現状を見たとき、日本政府に腹が立ったが、結局はその政府の税金の使いかたに興味を持っていない自分の責任であるとも感じた。何かの募金でも同じことがいえるが、お金を援助するならその使われ方まで最後まで知る必要がある。あげたらそれで終わりではない。最後まで責任を持つべきである。ODAの問題は国の責任だけでなく私の責任でもある。
 以上のことから、私はフィリピンの貧困問題に対して、日本政府が変わるべきだとか、日本企業は間違っていると考えていたが、本当に問題を解決するためには、行政でもなく国でもなく企業でもなく自分が変わるべきだと思った。なぜなら、フィリピンの貧困を維持させている原因は私の日本での生活にあるからだ。小さなことだが、モノを選ぶ価値基準を安いからいいというのをやめる・税金の使われかたに最後まで責任を持つなど自分から変わっていくことが今の日本社会を変える道につながると思った。誰か他人がやるのではなく、自分がやるのである。企業や政府のせいにするのではなく、貧困を維持させているのは私の日本での生活なんだと自覚することから始まると思う。そしてそのことに気づいた今、この事実を自分の口から伝えることだと思った。
 NGOの存在する意義はある。日本の企業・国が変わり、社会が変わり世界全体が変わるには時間がかかることは間違いない。その時間差を埋めてくれるのがNGOだと思う。社会が変わるまでの間にも、明日生きていくことを苦しむ多くの人がいる。「今」生きていくことが困難な人を助けていくことがNGOの使命だと感じた。企業・国・社会が変わることと同時に現地でサポートをするNGOの存在が絶対に必要不可欠であると思った。そしてもう一つNGOには、今回NGOのツアーに参加し私が変わったように世の中の人に途上国の現状を伝える「教育」という大きな存在意義があると感じた。
 しかし、やはり資金不足というのがNGOの問題であるので、利益をあげるビジネスとして問題を解決させていくことがこれからの日本に必要であると感じた。私はこれから就職活動をするにあたって、その点を重視していきたいと思った。

(3回生M,2005年12月8日)


研修種別:スタディツアー
研修内容:
研修期間:2005年8月20日-9月10日
研修場所:フィリピン

(3回生K,2005年--月--日)


研修種別:スタディツアー
研修内容:
研修期間:9月18日-10月2日
研修場所:カンボジア ( 「カンボジアこどもの家」)

(3回生M,2005年--月--日)


Author: Shin Hasegawa
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