関西大学システム理工学部 機械工学科

ロボット・マイクロシステム研究室

MEMSを利用したソフトアクチュエータ


概要

人間の視覚,力覚・触覚,聴覚を司る眼,皮膚感覚素子,耳はマイクロサイズの有機素子が巧妙に組織されて成立しています.また人間の筋肉は現在ロボットで各関節に使用されている電磁式のモータとは仕組みが全く異なり,多数の微細な細胞が互いに滑ることにより駆動されています.ロボットの可搬重量は自重の1/10程度であるのに対して,人間は自分の体重よりも重いものも持ち上げることが可能です.MEMSの技術を利用すれば,これら人間に匹敵するようなセンサ・アクチュエータの実現も近い将来可能かもしれません.

われわれは,ロボットに搭載することを目的としたMEMSセンサ・アクチュエータの開発に取り組んでいます.トピックとして,人間と同様にアレイ状に微細な感圧素子が分布する触覚センサを開発しています.フレキシブルなポリマー材料を用いているため,ロボットの指のような曲面上に配置することが可能です.また電界を印加すると力を発生するPVCゲルを用いたフレキシブルアクチュエータ,フレキシブルな空気圧ロボットハンドにも取り組んでいます.

PVCゲルを用いた高速応答アクチュエータ

可塑化PVCゲルアクチュエータはゲルを電極で挟んだ構造となっています.電圧を加えるとゲルが電極を這うような動きをするため,その応答速度は数Hzしかありません.そこで本研究では,図1に示すようなアクチュエータを開発しています.アクチュエータはゲルを両持ち梁状に支持した構造となっており,離れた電極により静電力でゲルを駆動します.このときゲルを支持電極は電気的に接地してあります.電圧を加えるとゲルは電極を這わず空気中を振動するため,応答速度・変位が大きくすることができます.また共振駆動することも可能となります.さらにアレイ状に並べることで,高い発生力を得ることができます.

図1 アクチュエータの駆動(印加電圧:400Vp-p,周波数:60 Hz)

図2 高速度カメラによる撮影(印加電圧:400Vp-p,周波数:150 Hz)

Suction cups

図3 可塑化PVCゲルアクチュエータの駆動原理

Actuator

図4 ゲルアクチュエータの積層化

Actuator

図5 作製した積層ゲルアクチュエータ(5層)

Actuator

図6 ゲルアクチュエータの周波数特性(印加電圧:400Vp-p)

Actuator

図7 共振時のゲルアクチュエータの変位(印加電圧:400Vp-p,周波数:57 Hz)

Actuator

図8 ゲルアクチュエータの変位(印加電圧:DC 400V)

積層型空気圧アクチュエータ

空気圧アクチュエータは出力,保持力が高く,空気を扱うため人体への危険が比較的少ないアクチュエータです.このため福祉用ロボットやパワーアシストのアクチュエータとして研究が盛んに行われています.またアクチュエータを比較的容易に柔軟にできるため,ソフトアクチュエータやマイクロアクチュエータとしても注目されています.マイクロアクチュエータ・ヘ,シリコーンゴムの1種であるPolydimethylsiloxan(PDMS)を用いたバルーン形状したものが多く,それらは空気圧を印加するとアクチュエータは屈曲します.そこで本研究では,積層しやすい空気圧リニアアクチュエータを提案します.リニアアクチュエータにすることで変位は小さいですが,発生力が大きくできます.変位が小さい問題はアクチュエータを積層することにより解決できます.

Actuator

図9 空気圧アクチュエータの駆動原理

Actuator

図10 積層したアクチュエータ

PAGE TOP

Copyright (C) 関西大学 システム理工学部 機械工学科 ロボット・マイクロシステム研究室 All Rights Reserved.