関西大学大学院外国語教育学研究科
『外国語教育メディア論』(2006) シラバス

I. 担当者

担当者竹内 理
所属関西大学大学院外国語教育学研究科・外国語教育研究機構
住所〒564-8680 吹田市山手町3-3-35 関西大学内
e-mailtakeuchi@ipcku.kansai-u.ac.jp
URLhttp://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~takeuchi/


II. 授業目的

外国語教育に関わるメディアとその利用法を概観したのち、効果的なメディアの利用とはどうあるべきかを、実証的データと理論的枠組の中で探っていく。

III. 授業形態

講義形式をとるが、教員が一方的に話すのでなく、受講生が考え、意見を述べる場面を多く設け、インターアクティブな授業になるよう心がける。受講生には、授業に積極的に参加すること、ならび指定文献や参考文献を必要に応じて読むことが求められる。

IV. 授業計画

月日内容指定文献
4/13オリエンテーション:メディアは外国語教育を変えるのか?竹内(1999)
4/20マルチメディアの理論的枠組み:二重符号化とワーキングメモリ竹内(2000)、竹内(2004)
4/27マルチメディアの実証的検証:「見る」ことを例としてHarmer (2003)、竹内(2000)、竹内(2004)
5/11学習環境のデザイン:LLとCALLを例として美馬・山内(2005)、竹内(2002)
5/18認知メカニズムとメディア利用(1):「聞く」ことを例として河野(1992)、竹蓋(1997)、竹内(2000)
5/25インターネット利用の理論的枠組:インターネットの特殊性と社会構成主義を中心にフォッグ(2005)、西口(2005)、竹内(1998)、Warschauer (2002)、 Weintraub (2001)
6/01リソースとしてのメディア:ネットリソースを例としてBeatty & Nunan (2004)、Dudeney (2000)、山内(2001)
6/08メディアによってコミュニケーションはどう変わるのか:Netspeakを例としてCrystal (2001)、西垣、ルイス(2001)
6/15認知メカニズムとメディア利用(2):「読む」ことを例として門田・野呂(2001)、竹内(2000)
6/22メディアを利用した学習を成功に導く条件とは?:Distance Education と CALL を例としてBax (2003)、Jones (2001)、久保田(2000)、美馬・山内(2005)、Susser(2003)
6/29情報化社会の光と影:情報モラルと著作権を考えるNIME (2005)
7/06教育メディアの研究方法:パラダイムの対立を越えてLazaraton (2003)、久保田(2000)、van Lier (1996)
7/13外国語教育におけるメディア利用の方向性:まとめのディスカッションハーリー(1999)、サンダース(1998)、 van Lier (2001)、渡辺(2001)
7/20予備日---


V. 指定文献

以下のうち、竹内(2000) は毎回の授業と関連するため、教科書として購入すること。

Bax, S. 2003. CALL- Past, present, and future. System, 31, 13-28.

Beatty, K. and Nunan, D. 2004. Computer-mediated collaborative learning. System, 32:2, 165-183.

Crystal, D. 2001. Language and the Internet. (Ch.XX) Cambridge: Cambridge Univ. Press.

Dudeney, G. 2000. The Internet and the language classroom: A practical guide for teachers. Cambridge: Cambridge Univ. Press.

ハーリー、ジェーン 1999. 『コンピュータが子どもの心を変える』 東京:大修館

フォッグ、B.J. 2005. 『実験心理学が教える人を動かすテクノロジー』東京:日経BP社

Harmer, J. 2003. 『実践的英語教育の指導法』(拙訳 第7章:ビデオの利用)斉藤、新里(監訳) 東京:ピアソン・ロングマン

Jones, J. F. 2001. CALL and the responsibilities of teachers and administrators. ELT Journal, 55:4, 360-367.

門田修平、野呂忠司 2001. 『英語リーディングの認知メカニズム』東京:くろしお出版

河野守夫 1992. 人は音の流れをどのようにして理解するのか:英語によるコミュニケーションの基本問題 『LLA関西支部研究集録』4, 13-49.

Koyama, T. and Takeuchi, O. To appear. Does Look-up Frequency Help Reading Comprehension of EFL Learners?: Two Empirical Studies on Electronic Dictionaries. CALICO Journal, 25:2.

久保田賢一 2000. 『構成主義パラダイムと学習環境デザイン』 大阪:関西大学出版部

Lazaraton, A. 2003. Evaluative criteria for qualitative research in applied linguistics: Whose criteria and whose research? Modern Language Journal, 87:1, 1-12.

美馬のゆり、山内祐平 2005.『「未来の学び」をデザインするー空間・活動・共同体』東京:東京大学出版会

NIME(独立行政法人メディア教育開発センター)2005. 『IT活用教育と著作権ー関係者が知っておくべきこと』東京:独立行政法人メディア教育開発センター

西垣 通、ルイス、J. 2001. 『インターネットで日本語はどうなるか』 東京:岩波書店

西口光一(編著)2005. 『文化と歴史の中の学習と学習者ー日本語教育における社会文化的パースペクティブ』東京:凡人社

サンダース、バリー 1998. 『本が死ぬところ暴力が生まれる:電子メディア時代における人間性の崩壊』 東京:新曜社

Susser, B. 2003. Effectiveness and evaluation in CAI. 『外国語教育メディア学会関西支部研究集録』9, 1-12.

竹蓋幸生 1997. 『英語教育の科学』 東京:アルク

竹内 理 1998. コンピュータ・ネットワーク利用の外国語教育:その理論的背景と問題点『LLA関西支部研究集録』Vol.7, pp.29-48.

竹内 理 1999. 教育メディアとその効果について:Media do not influence learning. 『LL通信』205号 p.1.(巻頭言) 東京:ソニー

竹内 理 2000.(重版 2004.) 『認知的アプローチによる外国語教育』 東京:松柏社

竹内 理 2002. 外国語教育とメディアの利用 『メディアとコミュニケーションの教育』 水越敏行、ICTE(編著)大阪:日本文教出版

竹内 理 2004. メディアの利用と第二言語習得『第二言語習得研究の現在−これからの外国語教育の視点』 小池生夫(主幹)東京:大修館書店

van Lier, L. 1996. Interaction in the language curriculum: Awareness, autonomy, and authenticity. London: Longman.

van Lier, L. 2001. 'The geeks must be crazy' The ecological and educational validity of technology-rich environments. Proceedings of the FLEAT-IV Conference, 41-50.

Warschauer, M. 2002. A developmental perspective on technology in language education. TESOL Quarterly, 36:3, 453-475.

渡辺保史 2001 (reprinted 2005) 『情報デザイン入門ーインターネット時代の表現術』東京:平凡社

Weintraub, H. 2001. The playful scientist as language learner: Re-defining the relationships between learners, knowledge, spaces, and media. 『外国語教育メディア学会関西支部研究集録』8, 1-15.

山内 豊 2001. 『IT時代のマルチメディア英語授業入門』 東京:研究社


VI. 参考文献

『外国語教育メディア論』の参考文献一覧

外国語教育学関連のジャーナル一覧


VII. 成績評価

この授業では、1) クラスにおける意見の表明と質問を50%、2) レポート(講義内容に関して自分が最も関心を持った点を掘り下げたもの)を50%として評価する。

レポートは、Due Date を7月20日(木)として、大学院事務室窓口に提出すること。フォーマットはA4サイズで、APA形式の参考文献一覧をつけ、ワープロ打ちで提出すること。なお、図表なども利用して、説得力のある構成のレポートにすること。


Released: 03/25/06
Revised: 03/25/06