関西大学大学院外国語教育学研究科
『外国語教育メディア論』(2009) シラバス

I. 担当者

担当者竹内 理
所属関西大学大学院外国語教育学研究科・外国語学部
住所〒564-8680 吹田市山手町3-3-35 関西大学内
e-mailtakeuchi@ipcku.kansai-u.ac.jp
URLhttp://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~takeuchi/


II. 授業目的

外国語教育に関わるメディアとその利用法を概観したのち、効果的なメディアの利用とはどうあるべきかを、実証的データと理論的枠組の中で探っていく。

III. 授業形態

講義形式をとるが、教員が一方的に話すのでなく、受講生が考え、意見を述べる場面を多く設け、インターアクティブな授業になるよう心がける。受講生には、授業に積極的に参加すること、ならび指定文献や参考文献を必要に応じて読むことが求められる。

IV. 授業計画

月日内容指定文献
4/09オリエンテーション:メディアは外国語教育を変えるのか?Kern (2006)、竹内(1999)
4/16マルチメディアの理論的枠組み:二重符号化とワーキングメモリ竹内(2000)、竹内(2004)
4/23マルチメディアの実証的検証:「見る」ことを例としてハーマー (2003)、竹内(2000)、竹内(2004)
4/30学習環境のデザイン:LLとCALLを例としてBlake (2008)、美馬・山内(2005)、大谷 (2007)、Schwienhorst (2008)、竹内(2002)、竹内(2008)
5/07認知メカニズムとメディア利用(1):「聞く」ことを例として河野(1992)、竹蓋(1997)、竹内(2000)
5/14インターネット利用の理論的枠組:インターネットの特殊性と社会構成主義を中心にフォッグ(2005)、西口(2005)、Warschauer (2002)
5/21リソースとしてのメディア:ネットリソースを例としてBeatty & Nunan (2004)、山内(2001)
5/28メディアによってコミュニケーションはどう変わるのか:Netspeakを例としてCrystal (2001)、Crystal (2008)、西垣・ルイス(2001)
6/04学会出張のため休講を予定 
6/11認知メカニズムとメディア利用(2):「読む」ことを例として門田・野呂(2001)、Koyama & Takeuchi (2007) 、竹内(2000)
6/18メディアを利用した学習を成功に導く条件とは?:Distance Education と CALL を例としてBax (2003)、Blake (2008)、Chambers & Bax (2006) 、Jones (2001)、久保田(2000)、White (2007)
6/25情報化社会の光と影:情報モラルと著作権を考えるNIME (2007)
7/02教育メディアの研究方法:パラダイムの対立を越えてChapelle (2007) 、久保田(2000)、Lazaraton (2003)
7/09外国語教育におけるメディア利用の方向性:まとめのディスカッションハーリー(1999)、サンダース(1998)、 van Lier (2000)、Weintraub (2001)
7/16補講予定日竹内 (2008)、渡辺(2001)


V. 指定文献

以下のうち、竹内(2000) は毎回の授業と関連するため、教科書として購入すること。

Bax, S. (2003). CALL- Past, present, and future. System, 31, 13-28.

Blake, R. J. (2008). Brave new digital classroom: Technology and foreign language learning. Washington D.C.: George Washington University.

Beatty, K. & Nunan, D. (2004). Computer-mediated collaborative learning. System, 32, 165-183.

Chambers, A. & Bax, S. (2006). Making CALL work: Towards normalization System, 34, 465-479.

Chapelle, C.A. (2007). Challenges in evaluation of innovation: Observations from technology research. Innovation in Language Learning and Teaching, 1, 30-45.

Crystal, D. (2001). Language and the Internet. Cambridge: Cambridge Univ. Press.

Crystal, D. (2008). Txtng: The gr8 db8. Oxford: Oxford University Press.

フォッグ、B.J. (200). 『実験心理学が教える人を動かすテクノロジー』東京:日経BP社

ハーリー、J. (1999). 『コンピュータが子どもの心を変える』 東京:大修館書店

ハーマー、J. (2003). 『実践的英語教育の指導法』(拙訳 第7章:ビデオの利用)斉藤、新里(監訳) 東京:ピアソン・ロングマン

Jones, J. F. (2001). CALL and the responsibilities of teachers and administrators. ELT Journal, 55, 360-367.

門田修平、野呂忠司 (2001). 『英語リーディングの認知メカニズム』東京:くろしお出版

Kern, R. (2006). Perspectives on technology in learning and teaching languages. TESOL Quarterly, 40, 183-210.

河野守夫 (1992). 人は音の流れをどのようにして理解するのか:英語によるコミュニケーションの基本問題 『LLA関西支部研究集録』4, 13-49.

Koyama, T., & Takeuchi, O. (2007). Does look-up frequency help reading comprehension of EFL learners? Two empirical studies of electronic dictionaries. CALICO Journal, 25, 110-125.

久保田賢一 (2000.) 『構成主義パラダイムと学習環境デザイン』 大阪:関西大学出版部

Lazaraton, A. (2003). Evaluative criteria for qualitative research in applied linguistics: Whose criteria and whose research? The Modern Language Journal, 87,, 1-12.

美馬のゆり、山内祐平 (2005).『「未来の学び」をデザインするー空間・活動・共同体』東京:東京大学出版会

NIME(独立行政法人メディア教育開発センター)(2007). 『著作権法の基礎知識ーIT活用教育関係者が知っておきたい著作権』東京:独立行政法人メディア教育開発センター

西垣 通、ルイス、J. (2001). 『インターネットで日本語はどうなるか』 東京:岩波書店

西口光一(編著)(2005). 『文化と歴史の中の学習と学習者ー日本語教育における社会文化的パースペクティブ』東京:凡人社

大谷泰照 (2007).『日本人にとって英語とは何か---異文化理解のあり方を問う』東京:大修館書店

サンダース、B.(1998).『本が死ぬところ暴力が生まれる:電子メディア時代における人間性の崩壊』 東京:新曜社

Schwienhorst, K. (2008). Learner autonomy and CALL environments. New York: Routledge.

竹蓋幸生 (1997). 『英語教育の科学』 東京:アルク

竹内 理 (1998). コンピュータ・ネットワーク利用の外国語教育:その理論的背景と問題点『LLA関西支部研究集録』Vol.7, 29-48.

竹内 理 (1999). 教育メディアとその効果について:Media do not influence learning. 『LL通信』205, 1.(巻頭言) 東京:ソニー

竹内 理 (2000, 重版 2004.) 『認知的アプローチによる外国語教育』 東京:松柏社

竹内 理 (2002). 外国語教育とメディアの利用 『メディアとコミュニケーションの教育』 水越敏行、ICTE(編著)大阪:日本文教出版

竹内 理 (2004). メディアの利用と第二言語習得『第二言語習得研究の現在−これからの外国語教育の視点』 小池生夫(主幹)東京:大修館書店

竹内 理(編著)(2008). 『CALL 授業の展開---その可能性を拡げるために---基礎、応用から発展まで』東京:松柏社

梅田望夫 (2006). 『ウエッブ進化論-本当の大変化はこれから始まる』東京:ちくま新書

van Lier, L. (2000). From affordance to input In J.P. Lantolf (Ed.) Sociocultural theory and second language learning(pp.245-259). Oxford: Oxford University Press.

Warschauer, M. (2002). A developmental perspective on technology in language education. TESOL Quarterly, 36, 453-475.

渡辺保史 2001 (reprinted 2005) 『情報デザイン入門ーインターネット時代の表現術』東京:平凡社

Weintraub, H. (2001). The playful scientist as language learner: Re-defining the relationships between learners, knowledge, spaces, and media. 『外国語教育メディア学会関西支部研究集録』8, 1-15.

White, C. (2007. Innovation and identity in distance language learning and teaching. Innovation in Language Learning and Teaching, 1, 97-110.

山内 豊 (2001). 『IT時代のマルチメディア英語授業入門』 東京:研究社


VI. 参考文献

『外国語教育メディア論』の参考文献一覧

外国語教育学関連のジャーナル一覧


VII. 成績評価

この授業では、1) クラスにおける意見の表明と質問を50%、2) レポート(講義内容を総合して、自分なら外国語授業にどうメディアを利用するのかを論じたもの)を50%として評価する。

レポートは、Due Date を7月18日(土)として、教務センター窓口に提出すること。フォーマットはA4サイズで、APA形式の参考文献一覧をつけ、ワープロ打ちで提出すること。なお、図表なども利用して、説得力のある構成のレポートにすること。


Released: 03/25/08
Revised: 03/25/08