「マルチメディアと図書館」研究グループ

第13回研究例会報告


テーマ:「既存図書館と電子図書館の間」

      −−"access.txt−文献調査・利用ガイド−の作成経過に関連して−−"

発表者:織田裕行(京都大学附属図書館)

日時:1997年5月31日(土)15:00〜17:00

会場:大阪市立大学学術情報総合センター


<はじめに>

今回は織田氏を講師に招き、京都大学附属図書館の参考調査掛において取り組まれた文献調査・利用ガイドver.1.0完成までの経緯と苦労、今後の課題などについて報告をいただいた。

<"access.txt"について>

冊子の前書きによると、"access.txt"は、平成7年度の参考カウンターでの質問の集積を発端とし、質問集に回答集を加えたものにさらに手を加え、約1ヶ月で準備稿が作成された。その後約1年を経過して今回の第1版が上梓された。

"access.txt"は図書・雑誌の探し方から入手方法までを扱った“文献の探索・発見・入手”と、雑誌論文・新聞記事から各種glay literatureの探し方に言及した“様々な学術情報へのアクセス”の2部から成る本文と、主題インデックス、京大全学の所蔵表示案内、受賞者一覧、索引などの付録とで構成されている。本文には参考調査掛において過去に蓄積された質問の中から代表的なものと、その回答が相当数挿入されている。

<問題点、課題等>

作成の過程で見えてきた様々な問題点、課題について報告された。

  1. 提供方法

    冊子形態による提供とWebでの提供の二つの方法を並行して進める場合、印刷原稿からhtml文書を作成する方向と印刷媒体を副次的なものとして扱う2方向が考えられる。それぞれのケースについて次のような問題点が指摘された。前者の場合、最近のワープロや表計算ソフトに既存のhtml形式への変換機能を用いれば骨格は短時間で整うが、その後リンクなど手を加える作業がすべて手作業となり多大な時間と労力が必要である。後者の場合、ページをめくる感覚との違いにより、レイアウトやリンクの処理に問題が多い。

  2. 利用者別対応

    ホームページの構成要素として見た場合、対象ユーザ(学内利用者、学外利用者、スタッフ等)によって提供したい内容が異なる。両者の区分を同一のホームページ上で展開する方法について検討が必要である。

  3. 索引整備

    索引語を50音順に配列し、それを附属図書館で採用されている3種類の分類法およびNDCと相関させた索引が巻末に付されている。試作の段階であり、今後の進め方に困難を感じている。

  4. 質問アラカルトの編成

    本文の大まかな項目ごとに、質問アラカルトとして20〜40件の質問・回答が掲載されているが、その配列が規則的でなく見にくいので、再編が課題であると考えている。

  5. その他

    図書館に来て探す、という前提のもとに、一次資料、冊子資料との距離を縮めるために書誌情報源の集積、冊子資料紹介との連携などの方向が示唆された。特に、ILL案内の充実、類縁機関の名簿整備、索引機能整備など総合資料ガイドとしての整備を進めている旨、報告された。

<質疑>

1)印刷媒体とhtml形態の調整は、ページという印刷媒体の制約によって非常に困難であるという声は参加者の中からも多く聞かれ、現在の技術であればそのままCD-Rに落とした方が楽であるとの指摘があった。

2)索引語の抽出方法について質問があり、本文からキーワードを抽出してリストアップしたものであること、試行錯誤の段階でありまだまだ不十分な点が多いとの返答があった。またそれに関連して、最低限NDCの相関索引に取り上げられている語は掲載すべきではないか、という提案があった。

3)ホームページの利用者別対応については、アクセス者のIPアドレスによって見せかたを変えるcgiプログラムが作成可能であることが指摘された。

(文責:村上泰子)