「マルチメディアと図書館」研究グループ

第44回研究例会報告


テーマ:「MIT、Harvard Univ等の見学から--主として電子ジャーナルの今後の動向について--」

発表者:慈道佐代子(京都大学工学図書館)・呑海沙織(京都大学附属図書館)

日時:2000年7月22日(土)15:00〜17:00

会場:大阪市立大学学術情報総合センター


<はじめに>

慈道氏と呑海氏は7月4日から11日にかけてボストン地区の大規模大学図書館を訪問された。京都大学では工学部の移転計画が進められており、新キャンパスでの工学部系の図書館新設に向けての調査を目的としたものである。

<訪問調査(1)MIT>

まずは慈道氏より、主題に沿った個別の図書館群から構成されているMIT図書館の中で、特に工学部と関連のあるScience LibraryとEngineering Library、Rotch Library(建築系)について報告された。Rotch Libraryでは実際にVERA(Virtual Electronic Resource Access)にアクセスし、MITで契約しているデータベース、電子ジャーナルの利用を体験。CA、BIOSIS、Web of Scienceなどにアクセス可能で、そのほか2046の電子ジャーナルが利用できる。MITでは電子ジャーナルを今後も積極的に導入していく方針であり、電子アーカイブの研究・開発も予定している。

<訪問調査(2)ハーバード>

一方ハーバード大学は外観、設備等に伝統を感じさせるが、Chemistry Libraryはカードで24時間利用可能で、現在当地で研究中の教官をして、この図書室で欲しい資料はほぼ手にすることができる、と言わせる資料の充実度は流石である。

<MITの詳細>

慈道氏からの概略報告のあと、呑海氏からMITを中心に写真やホームページの画像を交えながらさらに詳細な報告がなされた。

<質疑>

日本の大学図書館における電子ジャーナル等の導入や、学内情報の発信といったサービスを今後どのように進めていくかということを考える上で、大変貴重な内容であった。参加者の間にはこうしたサービスを一大学だけでどこまでできるのか、という疑問の声もあり、日本におけるコンソーシアムのありかたにも話が及んだ。

(文責:村上泰子)