「マルチメディアと図書館」研究グループ

第46回研究例会報告


テーマ:「BIBLINKプロジェクト」

発表者:呑海沙織(京都大学附属図書館)

日時:2000年10月21日(土)15:00〜17:00

会場:大阪市立大学学術情報総合センター


<はじめに--BIBLINKプロジェクト>

今回は呑海氏より、EC諸国図書館協力計画のプロジェクトのひとつであるBIBLINKプロジェクトについて報告された。

まずはじめに、EC諸国図書館協力計画プロジェクトは、資料だけではなく図書館員の知識も共有すべきだとの考えに基づいて、稀こう書等の保存からインターネットを通じた通信教育に至るまで合計114のプロジェクトを抱え、BIBLINKはそのうちのデータの交換・転換の支援に関わるCoBRA(Computerized Bibliographic Records Action)から派生した、全国書誌作成機関間および電子出版物作成機関との連携を目指し、インタラクティブな書誌情報流通システムの実証システムの構築を提案するプロジェクトであることについて述べられた。

BIBLINKプロジェクトの検討事項のうち、今回取り上げられたのはメタデータおよび資料識別子についてである。

<メタデータ、資料識別子>

次にBIBLINKプロジェクトにおいて、フォーマット変換の可能性について探るために分析された様々なメタデータのうち、ダブリン・コア、MARC、GLIS、TEIヘッダの4つが比較された。

資料識別子に関しては、BIBLINKに求められる9つの条件(標準性、唯一性、継続性、拡張性等)を満たしているかどうか、という観点からの分析結果が報告され、BIBLINKにおいてはISBN、ISSN、SICIが推奨されていることが指摘された。

<質疑>

流動的な状況の中で、例えばエルゼビアのような出版社とOCLCのような仲介業との間や、ヨーロッパ圏と米国との間等、関係者間にある異なる思惑について意見交換が行われた。その中でBIBLINKのようなプロジェクトへの多くの資金投入は、産業政策の一環としての取組みであることを物語っていること、STM分野にますます重点が置かれるであろうこと、などが指摘された。

(文責:村上泰子)