テーマ:「文献情報環境の日韓比較」
発表者:織田裕行(京都大学附属図書館)
日時:2001年2月24日(土)14:30〜17:00
会場:大阪市立大学学術情報総合センター
<はじめに>
今回は、大変身近な国でありながら普段知る機会の少ない韓国の文献情報環境について、織田氏に報告いただいた。
<韓国の情報環境>
日本・韓国・台湾3か国のインターネット利用状況から、韓国のインターネットおよび高速ネット接続の普及率の高さがわかること、PC房という低料金で高速インターネット接続のできるゲームセンター状の民営施設があること、集合住宅への集中サービスが提供されていること、などの特徴が紹介された。韓国での状況については会津泉氏の指摘を次のサイトで見ることができる。ただし、日本の雑誌記事中の「韓国は」は「ソウルは」とほぼ同義であり、中央と地方の格差の大きさに注意が必要であることを指摘された。
会津泉「韓国のインターネット」(IBM e-コラム)(8/28/'00)
また韓国政府が1999年4月に発表した将来ビジョン「CYVER KOREA 21」から、2002年までに世界10位圏の情報化先進国に入る、という具体的な目標を掲げて積極的に情報通信政策を展開していることが指摘された。この将来ビジョンについては以下を参照。
<韓国の図書館>
韓国の図書館数等について統計データで示された後、2つの国立図書館および学術情報システムについて包括的かつ詳細な報告があった。
1923年に設置された旧朝鮮総督府図書面を引き継ぎ、1945年国立図書館となった。1963年韓国図書館法の制定とともに国立中央図書館と改称。1988年現在地に7階建で新築オープン。職員数236名、蔵書200万冊。
図書館情報電算網(KOLIS-NET)計画により、国立中央図書館を中心とする文献情報処理の標準化と図書館業務の電算化、全国の図書館のネットワーク構築、を推進している。
国会図書館とは別にあり、20歳以上のものを利用対象とする。
韓国の国家的電子図書館プロジェクト
読書室として機能し、学生は朝から夜の閉館まで過ごす。。自習室の一部は年中24時間利用可能。OPAC化率は延世大学、ソウル大学とも100%。学位論文のオンライン化が進行中。
韓国約150の大学図書館による総合目録を構築し、国のすべての教育機関に電子情報サービスを提供する任務を負う。
ソウル大学校図書館とSolars社製図書館システムを使用する33大学図書館の検索が可能なシステムSOLARS Web 2.0、高麗大学図書館情報ネットワーク目録、梨花女子大学校図書館OPACが紹介された。
(文責:村上泰子)