テーマ:「英国における学術情報提供システム」
発表者:呑海沙織(京都大学附属図書館)
日時:2001年6月2日(土)14:30〜17:00
会場:大阪市立大学学術情報総合センター
<はじめに>
今回は英国の学術図書館事情に詳しい呑海氏より、学術情報提供システムの現状を中心に報告いただいた。
<英国高等教育の特徴>
主として1960年代以降の英国高等教育政策の歴史を振り返りながら、その変化の特徴として以下の3点が指摘された。
中でも1997年の「学習社会における高等教育」という名のデアリング報告書は「英国における高等教育の将来について包括的に検討されたランドマーク的な報告書」であり、「受益者負担原則の導入を勧告し、高等教育人口の更なる増大と教育水準の維持と質の向上が学習社会に不可欠であること」等が提言され、学生の顧客意識が増大するなど図書館をとりまく環境にも大きな影響を与えた。
<英国の学術情報政策>
英国高等教育機関における情報通信サービスの財政支援機関であるJISC(The Joint Information Systems Committee)は、1996年から2001年までの5か年計画の最優先事項として、全国ネットワーク情報資源共有プロジェクトDNER(Distributed National Electronic Resource)をかかげた。これは高等教育機関への高品質なネットワーク情報の提供を目的とするものである。
高等教育機関における図書館や情報サービス提供施設に関する調査、財政審議会および高等教育機関への勧告、をまとめたもの。1993年。その後の英国高等教育機関の情報サービスに大きな影響を及ぼし、英国最大の電子図書館プロジェクトeLibを実現へと導いた。
その他以下のデータベース提供サービスについて、概要とその得失等を報告された。
英国の継続・高等教育機関を代行して、ソフトウェア、データベース、コースウェア、その他情報技術関連製品の契約交渉をする非営利機関。
バース大学のBIDS、マンチェスター大学のMIMAS、エディンバラ大学のEDINAはいずれも、継続・高等教育機関にデータベースや電子ジャーナル等電子的情報を提供するための共有機関であり、英国三大ナショナル・データセンターと呼ばれている。JISCから助成を受ける。CHESTとの提携も。
1994年に全国認証システムを開発し、現在300機関の70万アカウントを管理している。
<英国式学術情報資源提供システム>
以下の特徴が示された。
(文責:村上泰子)