「マルチメディアと図書館」研究グループ

第54回研究例会報告


テーマ:「京都大学での電子ジャーナル導入の現況と今後の展開」

発表者:冨岡達治(京都大学総合人間学部図書館)

日時:2001年7月28日(土)14:30〜17:00

会場:大阪市立大学学術情報総合センター


<はじめに>

今回は、京都大学総合人間学部図書館の冨岡氏に、京都大学における電子ジャーナル導入の状況と今後の展開について報告いただいた。

<京都大学における電子ジャーナル・サービス>

京都大学における外国雑誌購入については、そのタイトル選定は基本的に各部局の図書委員会が決定権をもっている。そして前金契約によるものについての契約事務を事務局が担当し、各部局から入力されたデータの調整および集計を附属図書館が担当する。

電子ジャーナルの提供はすでに1996年ごろから各部局で個別的に行われていたが、1998年3月より電子図書館システムの一つとしてエルゼビア社のEES(Elsevier Electronic Subscription)が導入された。さらに1999年2月にはSpringer LINKの登録取りまとめを附属図書館が行い、このころから各部局からの登録取りまとめ依頼や全学利用の申し出等が増加傾向を見せた。そして2001年7月27日現在、約2700タイトルの電子ジャーナルが提供されている。

学内で利用できる電子ジャーナル一覧(ddb.libnet.kulib.kyoto-u.ac.jp/gakunai.html#ejnl)

電子ジャーナル導入にあたり、2000年5月には附属図書館商議会のもとに外国雑誌問題検討専門委員会を設置し、外国雑誌重複調整を実施した。今後も引き続き重複調整は継続される。

<今後の課題>

今後は、電子ジャーナル導入の障害となっている出版社側の不安定な戦略に対し、国立大学図書館協議会電子ジャーナルタスクフォースの役割が大いに期待される。また財源の確保、部局単位にばらばらな契約方法の改善、別々の掛で行っている作業の統合、など学内で解決すべき課題もある。大学の規模の大きさや学部自治の伝統に由来する困難はあるが、より効果的な電子ジャーナルの提供に向けて引き続き検討を進めたい。

(文責:村上泰子)