阪井 宏太朗
動作の時系列データから特徴的な体の使い方を特定する動作解析技術としてガウス過程力学モデル(GPDM)の利用が提案され,重要な日常生活動作の一つである立ち上がり動作に対してこの解析技術を応用する試みがある.物体が安定して立つためには,物体と床とが接している部分を結んでできる「支持基底面」の内部に身体重心が収まっている必要がある.立ち上がり動作では下肢で体重を支えながら支持基底面の中で重心を大きく移動させる.このときの重心の動かし方の違いにより,動作の運動戦略は「安定戦略」と「運動量戦略」に大別される.安定戦略が上半身を大きく前方へ傾けて重心が足部で作られる支持基底面に入ってから臀部を座面から離すのに対して,運動量戦略は重心を前方に加速させて勢いをつけることで,重心が足部の支持基底面に入る前に殿部を座面から離す.本研究では,このような運動戦略の違いをGPDMの適用結果において特定することができるかどうかについて検討する.