人と自動制御が協調して制御対象プロセスを目的どおりに作動させる人間機械システムを「シェアードコントロールシステム(shared control system)」といいます.人間には認知的能力や身体的能力に限界があるため,情報処理や注意維持に失敗して,誤操作や誤判断を犯す可能性があります.一方,自動制御は,その振舞いを決定するモデルが実際の現象と乖離すると,適切に動作しません.シェアードコントロールシステムは,人と自動制御が協働して互いに能力を補い合う制御の仕組みです.
本プロジェクトでは,鉄鋼生産プロセスを題材にして,シェアードコントロールシステムを実現するための技術開発に取り組んでいます.特に,自動制御がはたらいている中で人間オペレーターが状況を的確に把握し,必要に応じて自動制御に介入する意思決定に注目し,その判断を迅速かつ効果的に行えるように意思決定を支援するユーザインタフェース設計について研究しています.
材料を薄く延ばす圧延機を複数機並べたタンデム圧延機を対象に GUI (Graphical User Interface) を試作しました.
特定の圧延機への負荷集中を緩和し圧延プロセスを健全な状態に保つ手介入タスクを題材として,人間オペレータによるタスクの遂行を支援する情報表示を,機能の分析に基づいて検討しました.下記の動画は,試作 GUI の挙動を圧延機シミュレータの出力データを使ってアニメーションにしたものです.