山崎が2020年度に担当する「言語教育学(中国語)」(学部3〜4年次生向け)の概要です。
人に何かを教えるというのは、粘土をこねて何かを作るのとは根本的に異なる行為である。相手が人間である以上、自分と同じく尊重されるべき人格を持っていることを認識し、それを最大限に尊重することが必要なのが、人にものを教えるという行為である。
言語は人格の一部である。誰の人格であっても、個々人の人格というものは尊重されなければならないのであれば、その一部である個々人の言語もまた、どのような形を取っていようとも尊重されねばならない。
個人が複数の言語を使うことのできる能力は、言語ごとに独立して存在するのではなく、個人の1つの言語能力の中に同居しているとみなす能力観が現在では一般的である。であるなら、人が第2第3の言語を学ぶときには、すでに習得されている第1の言語にも注意を払わなければならない。つまり、我々が学習者にとって第2第3の言語を教える際にも、第1の言語を尊重する必要があるということになる。
魚屋が魚に対して知識を持っていなければならないように、教育機関で言語を教える教師が身につけておかなければならない、言語とその学習・教育に関する基本的な事項というものがある。この授業ではそれを学び、それを実践に生かすことができるかどうかを検討する。
実際に教師として教壇に立つために必要不可欠な実践的な知識・スキル・心構え等については、中国語科教育法1,2,3,4の4つの授業で個別かつ詳細に扱うので、現実に中国語を教える仕事を志望する者は、そちらも併せて受講されたい。