「中国語科教育法1」2020年度
概要
テーマ:音声の学習
この中国語科教育法1では、毎回の授業で、次の3つの作業を同時に進める。(1)受講者の中国語の音声に関する基本的な知識を確認する(不足していれば講義をおこなう)、(2)自分の発する音声を音響的/調音的に内省するスキルを訓練する、(3)入門期の中国語音声教育において、どのような学習項目を取り上げ、どのような言語現象は後回しにすべきかを検討し、その学習方法を考案する。
なお、言語を教える教師になるために習得すべきさまざまな事項のうち、「社会の中での言語の役割、言語能力観、言語の習得過程、学習者の持つ要因」など基本的な事項については、この授業の担当者が同じく担当する外国語学部の専門科目「言語教育学(中国語)」で簡単に扱うので、教師を志すかたはそちらも併せて受講されたい。
実際に教師として教壇に立つために必要不可欠な実践的な知識・スキル・心構え等については、この授業の担当者が同じく担当する学部生用の科目「中国語科教育法1, 2, 3, 4」の4つの授業で個別かつ詳細に扱うので、現実に中国語を教える仕事を志望する者は、これらを併せて受講されたい。中国語科教育法1では中国語の音声のシステムと音声教育について学ぶ。中国語科教育法2では言語形式と場面の結びつきについて学び(「文法」もここで扱う)、言語形式を学習項目として自分で選択するいくつかの方法について学ぶ。中国語科教育法3では「ほんとうのコミュニケーションとは何か」を理解し「教室におけるコミュニカティブな言語活動の設計」について学ぶ。中国語科教育法4では「文化を観察する、文化の違いに気づく、異文化間の調整をする」という授業を実地に体験する。
計画
- (導論)音声教育が言語教育に占める位置
- 「 英語の音声やリズムなどに慣れ親しむとともに,日本語との違いを知り,言葉の面白さや豊かさに気付くこと」(小学校・外国語活動)が、(例えば高等学校の)中国語においても必要かどうかも検討する。
- 現在、教育機関で使用されている教材などが「中国語の音声やリズムなどに慣れ親しむ」ことにどのように配慮しているかを調査して報告する。
- 声調の基礎知識の学習、音域の高低とその変化を内省する訓練
- 声調に「慣れ親しむ」ための学習方法、日本語の超文節音素との違いを知るための学習方法を考え、学習項目の取捨選択をおこない、教材のモデルを作る
- 母音の基礎知識の学習、舌の位置と口の形を内省する訓練
- 中国語の母音に「慣れ親しむ」ための学習方法、日本語の母音との違いを知るための学習方法を考え、学習項目の取捨選択をおこない、教材のモデルを作る
- 子音の基礎知識の学習、調音部位と調音方法を内省する訓練
- 中国語の子音に「慣れ親しむ」ための学習方法、日本語の子音との違いを知るための学習方法を考え、学習項目の取捨選択をおこない、教材のモデルを作る
- 二重母音・三重母音の構造に関する基礎知識の学習、隣接する音の融合度を内省する訓練
- 二重母音・三重母音に「慣れ親しむ」ための学習方法、日本語の母音連続との違いを知るための学習方法を考え、学習項目の取捨選択をおこない、教材のモデルを作る
- 鼻音韻尾のある音節の構造に関する基礎知識の学習、鼻音を内省する訓練
- 鼻音韻尾のある音節に「慣れ親しむ」ための学習方法、日本語との違いを知るための学習方法を考え、学習項目の取捨選択をおこない、教材のモデルを作る
- 強勢の現れかたに関する基礎知識の学習、鼻音を内省する訓練
- 強勢に「慣れ親しむ」ための学習方法、日本語との違いを知るための学習方法を考え、学習項目の取捨選択をおこない、教材のモデルを作る