「中国語科教育法2」

概要

テーマ：場面と言語形式の結びつき〜さまざまな意図や方法で選ばれる学習項目

この中国語科教育法（二）では、言語材料と言語使用場面の結びつきについて考える。まず、市販の教科書の学習項目を検討し、さまざまな種類の「シラバス」について学ぶ。その後で、「コミュニケーション能力」を学習目標にするアプローチについて学ぶ。そして、言語使用場面から出発し具体的な言語使用を想定して言語材料を選定する訓練をおこなう。

なお、言語を教える教師になるために習得すべきさまざまな事項のうち、「社会の中での言語の役割、言語能力観、言語の習得過程、学習者の持つ要因」など基本的な事項については、この授業の担当者が同じく担当する外国語学部の専門科目「言語教育学（中国語）」で簡単に扱うので、教師を志すかたはそちらも併せて受講されたい。

実際に教師として教壇に立つために必要不可欠な実践的な知識・スキル・心構え等については、この授業の担当者が同じく担当する学部生用の科目「中国語科教育法1, 2, 3, 4」の４つの授業で個別かつ詳細に扱うので、現実に中国語を教える仕事を志望する者は、これらを併せて受講されたい。中国語科教育法1では中国語の音声のシステムと音声教育について学ぶ。中国語科教育法2では言語形式と場面の結びつきについて学び（「文法」もここで扱う）、言語形式を学習項目として自分で選択するいくつかの方法について学ぶ。中国語科教育法3では「ほんとうのコミュニケーションとは何か」を理解し「教室におけるコミュニカティブな言語活動の設計」について学ぶ。中国語科教育法4では「文化を観察する、文化の違いに気づく、異文化間の調整をする」という授業を実地に体験する。

計画

• （導論）学習指導要領の中の記述「言語活動を行う際は，単に繰り返し活動を行うのではなく，児童が言語活動の目的や言語の使用場面を意識して行うことができるよう， 具体的な課題等を設定し，その目的を達成するために，必要な言語材料を取捨選択して活用できるようにすることが必要である」の意味するところを考える
• 市販の教科書の内容をいくつか検討し、指導要領に書かれている目標が達成可能かどうか考える。
• 「学習項目の選定と配列」を理解するために、言語教育でいうところの「シラバス」とは何かを学ぶ
• 構造積み上げ式のシラバス（文法シラバス）とは何かを理解する
• 概念・機能シラバスとは何かを理解する
• 場面シラバス、話題シラバスなどを理解する
• Can-do能力記述文で書かれた到達目標について学ぶ
• 市販の教科書の限界を見極め、不足を補う方法を考える
• 学習者にとってニーズのある場面を考える
• その場面で遂行すべきタスクを想定する
• タスク遂行に必要な言語表現をリスト化する
• その言語表現の導入と定着のためのドリルを考える
• その言語表現を現実に近い状況で使わせるための言語活動を考える
• 現実のコミュニケーションと教室での言語活動とのギャップを考える
• まとめ、振り返り、期末課題の説明