テーマ:「ネットワーク環境下のレファレンス・ツールの構築」
発表者:北克一(大阪市立大学)
日時:1997年4月26日(土)15:00〜17:00
会場:大阪市立大学学術情報総合センター
<はじめに>
これまでレファレンス事例を集積し、それを組織化、再利用しようとする多くの試みがなされてきたが、蓄積された事例がかならずしも有効に利用されているとはいえない状況であることがまず指摘され、今回はこのような現状を打開するひとつの試みとして、参考業務支援のための参考業務ツールとレファレンス事例の組織化システムの構築を、ネットワーク環境という観点から考察された。
<システムの考え方>
このシステムは「図書館現場でプロトタイプとして使用し、コンテンツを構築しつつ評価を得ようとする方法論」によること、実験システムではあるが「データの蓄積に比例してすぐれて現場のレファレンス業務での一定の実用化に耐えられる」こと、を基本とし、そのために必要な機能として、次の4点が指摘された。
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コンテンツ・データベース構築系
データベースは資料(冊子体、CD−ROM、インターネット等)により区分される。
コンテンツとしては、書誌事項、目次情報、ツールの簡単な解説のほか、編纂目的、カバー範囲、タイムラグ、更新頻度、深度、対象者などが考えられる。それらをテンプレートを用意して入力する。凡例の画像情報、ツールの一部の画像情報も利用上有用と考えられる。データベース系、ネットワーク系資料については、さらに課金情報なども必要である。
コンテンツをディレクトリ的に細分化していくのではなく、ファシット分類付与と共通補助表による。
レファレンス事例データベース構築系
実現可能性を考えた場合、コンテンツ・データベースと同様の方法をとるよりも「コンテンツ・データベースの個々のツールとの多対多リンク」により組織化する方が現実的である。
その他
上記のほか、レファレンス・コンテンツの検索、インタフェース、セキュリティ対策などについても提案がなされた。
<課題>
発表の中で、解決すべき課題についてさらに次のような指摘があった。
すべてのコンテンツに共通の書式が設計可能か。共通のものを用意する必要があるのか。
<質疑>
1)レファレンス事例とコンテンツ・データベースとのリンクの考え方や、レファレンス事例のランクづけの方法などについて質問があり、それぞれに対してさらに説明が加えられた。
2)参考業務担当者からは、レファレンス事例の蓄積の試みと苦労などについて報告があり、次回、その現状について報告していただくことになった。
3)システムの構築に向けてこの提案をさらに今後練り上げていくことについて合意が得られた。
(文責:村上泰子)