「マルチメディアと図書館」研究グループ

第20回研究例会報告


テーマ:「電子図書館における著作権典拠管理ファイルの構造に関する一考察」

発表者:村上泰子(梅花女子大学)

日時:1998年1月24日(土)15:00〜17:00

会場:大阪市立大学学術情報総合センター


<はじめに>

今回は、電子図書館システムにおいてデジタル情報をネットワーク上でやりとりする場合に避けて通ることのできない問題として、主として著作権典拠管理ファイルの構造面から<著作権処理問題が取り上げられた。

<電子図書館と著作権処理モデル>

まず「電子図書館」という言葉に、現在の図書館のハイブリッド型ととらえる「狭義の電子図書館」と、これに出版社、取次、新聞社、放送局など図書館の周縁で電子図書館機能を持つものを包含した「広義の電子図書館」の二通りの意味が与えられ、その上で、狭義の電子図書館についてデジタル・コンテンツの流通モデルが示された。

<狭義の電子図書館と著作権典拠管理ファイル>

デジタル・コンテンツの流通時に著作権データが交換される際、著作権典拠管理ファイルが必要であることが指摘された。

<著作権典拠管理ファイルの構造>

著作権典拠管理実施に際して把握されるべき著作物の単位と著作の構造の問題について、主として「版」の方向から検討された。異なる「版」としながら、もとの著作のファミリーとしてとらえるべき一連のものとして、

が考えられること、「統一タイトル」ではこれらの扱いに限界があることなどが述べられた。

<著作権使用契約に基づく利用管理と課金情報管理>

著作権管理において管理されるべき情報と、その際の問題点について考察された。

<質疑>

デジタル異版を表現する可能性としてのXML、デジタル版管理に利用可能な技術としてのCastanet、など技術面の新しい展開について報告があり、また電子図書館の法的責任について議論が行われた。

(文責:村上泰子)