「マルチメディアと図書館」研究グループ

研究例会報告


テーマ:「第二次総合目録ネットワークの将来を考える−その課題と展望−」

発表者:北 克一(大阪市立大学大学院創造都市研究科教授)

日時:2008年3月15日(土)14:30〜16:30

会場:大阪市立大学梅田サテライトキャンパス


国立国会図書館が平成10年に総合目録ネットワーク事業を開始してから10年を迎え、次期システムの仕様決定も間近になっている。今回はこの総合目録ネットワークの課題をいくつかの切り口から整理していただき、その解決の糸口と将来への展望について論じていただいた。

まず前提として、標準化を標榜しながら図書館の数だけの標準が存在する図書館システムの問題や、昨今の技術変革の速さに対してどうしても遅れがちになってしまう図書館システム更新サイクルの問題、その延長線上にある図書館側の技術力不足、といったことが指摘された。

その上で、現在の「ゆにかねっと」(国立国会図書館のマネージする総合目録ネットワーク)の空間枠上の拡張の方向性として次の3つを挙げられた。

  1. 都道府県内の閉域連携モデルから広域図書館連携モデルへの拡張という道なりの充実モデルにより、ILL機能を拡張・充実させる。
  2. 大学図書館界を中心とするNACSIS-CATとの連携をはかる。
  3. National Libraryとしての典拠コントロールの総合拠点の役割を再度問い返し、新しい書誌調整のビジョンを打ち出す。

ただし、課題も多くある。現在のNACSIS-CATの課題などもふまえつつ、相互貸借の優先順位や経費問題、モラルハザードといった政策的な課題や、書誌のバッチ方式での形成の問題、民間MARCとの関係、主題索引など技術的な課題、そして利用者からみた「ゆにかねっと」の課題について、具体的に述べられた。

最後に、将来的な課題と展望として、NDL内部の収集/整理/書誌提供体制の総合整備、次世代全国総合目録のグランドデザインとロードマップの提示、NDLでの個々の事業を超えた全国書誌コントロール計画へのビジョン策定がとくに必要な時期に来ているとの重要な指摘で締め括られた。

(文責:村上泰子)