伊東 航史
テレマティクス(telematics = telecommunication + informatics)技術が普及し、移動体通信システムを活用した車両挙動データの収集が可能になった。本研究では、テレマティクスデータから得られる急減速率(急ブレーキ等の急減速事象の発生率)に着目し、これが交通環境の事故危険性を特定する手がかりとなり得るかどうかを検討した。具体的には、大阪府高槻市を対象として急減速率の空間分布と交通事故事例の空間分布を結びつけて分析し、急減速率が高い交通環境がもつ特徴とそれらの事故リスクとの関連性を調査した。
急減速率の空間分布データは、2021年10月から2022年9月にかけて高槻市で収集されたテレマティクスデータ由来のもので、全走行数に対する急減速事象発生数の比率が一辺125mの地域メッシュ単位で記録されている。一方、交通事故事例については、警察庁が公開するオープンデータセットより、2019年から2024年に高槻市内で発生した交通事故データを抽出して使用した。データセットに含まれる総事故件数は7501件である。各交通事故事例を急減速率の空間分布と関連づけて検討するために、急減速率のデータと同じメッシュグリッドを用いて交通事故データを整理した。