三浦 雅志
英文読解問題の取り組み方は読解方略によって変わり、内容を精密に理解しようとする精読(careful reading)と、必要な情報を効率的に読み取ろうとする速読(expeditious reading)では、認知的要求が大きく異なる。さらに、速読は精読に比べて英語習熟度の差異が行動指標に表れやすいとの指摘がある。そのため、時間的制約下で効率的な情報抽出が要求される読解タスクほど、語彙知識量や統語処理能力の不足が読解速度や正確性の低下として顕在化するものと予想される。
英文読解中の視線運動に関して堀口らは、アイトラッキングデータの時系列から特徴的な視線運動パターンを抽出する手法を提案し、固視時間やサッケード長、読み戻り回数などの従来指標ではうまく捉えられない英語習熟度の違いが視線運動パターンの出現の仕方の変化で捉えられる可能性を示した。本研究では、この視線運動パターン抽出法を応用し、英語習熟度の差異が表出しやすい読解方略と、その差異を特徴づける視線運動パターンについて調査した。読解方略として速読の3つの下位カテゴリーも考慮し、careful reading、skimming、scanning、searchreading の4種類を比較した。