第5章 相続税の改革

図5-1 世帯主職業別貯蓄残高
図5-2 有業者有り・無し世帯の年間収入階級別の貯蓄残高

第1節 資産形成における相続の実態

Kotlikoff and Summers (1981)によるライフサイクル資産(Life-cycle wealth)

表5-1 50歳時点の移転資産比率

第2節 相続税負担の数量分析

(1) 相続税改正の推移

表5-2 相続税の主な改正
区分
 
抜本改正前
 
抜本改正(昭和63年12月)
(昭和63年1月1日以降適用)
平成4年度改正
(平成4年1月1日以降適用)
平成6年度改正
(平成6年1月1日以降適用)
遺産に係る基礎控除
定額控除
法定相続人数比例控除
税率














配偶者に対する
相続税額の軽減

死亡保険金の非課税限度額
死亡退職金の非課税限度額

税額控除
未成年者控除
 障害者控除
 特別障害者控除
 

2,000万円
400万円×法定相続人の数
10%   200万円以下15 〃  500万円 〃20 〃  900 万円 〃25 〃 1,500 万円 〃30 〃 2,300 万円 〃35 〃 3,300 万円 〃40 〃 4,800 万円 〃45 〃 7,000 万円 〃50 〃   1億円 〃55 〃 1億4,000万円 
60 〃 1億8,000万円 〃
65 〃 2億5,000万円 〃70 〃  5億円 〃
75 〃  5億円 超
  14段階

遺産の2分の1又は4,000万円のいずれか大きい金額に対応する税額まで控除
250万円×法定相続人の数
200万円×法定相続人の数


20歳までの1年につき3万円
70歳までの1年につき3万円
70歳までの1年につき6万円

  4,000万円
800万円×法定相続人の数
10%   400万円以下
15 〃  800万円 〃
20 〃 1,400万円
〃 
25 〃 2,300 万円

30 〃 3,500 万円 〃
35 〃 5,000 万円 〃
40 〃 7,000 万円 〃
45 〃
 1億円 〃
50 〃1億5,000 万円

55 〃  2億円 
60 〃2億5,000 万円 〃
65 〃  5億円 〃

70 〃  5億円 超

   13段階
配偶者の法定相続分又は8,000万円のいずれか大きい金額に対する税額まで控除500万円×法定相続人の数500万円×法定相続人の数


20歳までの1年につき6万円
70歳までの1年につき6万円
70歳までの1年につき12万円

 

 4,800万円
950万円×法定相続人の数
10%   700万円以下15 〃  1,400万円 〃20 〃 2,500万円 〃25 〃 4,000 万円 〃30 〃 6,500 万円 〃35 〃   1億円  〃40 〃 1億5,000万円 〃45 〃  2億円  〃50 〃2億7,000 万円 〃55 〃3億5,000万円 〃60 〃4億5,000 万円 〃65 〃  10億円 〃70 〃  10億円 超

  13段階
  同左


  同左
  同左


  同左
  同左
  同左
 

5,000万円
1,000万円×法定相続人の数10%  800万円以下
15 〃 1,600万円 〃
20〃 
3,000万円 〃
25 〃 
5,000 万円 〃
30 〃  1億円  〃
40 〃  2億円  〃
50 〃  4億円  〃
60 〃  20億円  〃
70 〃  20億円 超





  9段階
配偶者の法定相続分又は1億6,000万円のいずれか大きい金額に対する税額まで控
   同左
   同左


  同左
  同左
  同左
 
出所:政府税制調査会提出資料       
 

(2)平成4年度改正以前の相続税負担

図5-3 相続税の計算方法(子供2人)
表5-3 相続財産が土地のみのときの相続税額
表5-4 実質税負担をゼロにするのに必要な金融資産額
表5-6 相続税の課税状況の推移  

第3節 相続税の強化

表5-7主要諸外国における相続税の課税最低限等
区分 日   本 ア メ リ カ イ ギリ ス  ド イ  ツ フ ラ ン ス
課税方式
 
遺産所得課税方式
(法定相続分課税方式)
遺産課税方式
 
遺産課税方式
 
遺産取得課税方式
 
遺産所得課税方式
 
課税客体

 
相続又は遺贈により取得した財産
 
被相続人の死亡時ににその所有に属していたすべての財産 被相続人の死亡時に
にその所有に属して
いたすべての財産
相続又は遺贈により取得した財産  
 
相続又は遺贈により取
得した財産
  
 
納税義務者
 
相続人又は 受遺者
 
遺言執行者又は
遺産管理人
遺言執行者又は
遺産管理人
相続人又は受遺者
 
相続人又は受遺者
 
国税収入に占める相続税収の割合
  4.3%
 

  1.8%
 

 1.3%
 

  0.6%
 

    1.7%
 
課税最低限
(配偶者と子3人)
(  子3人
)

9,000万円
 8,000万円

1億6,250万円
 
 8,125万円

9,245万円
4,623万円

1億7,281万円
  8,641万円

3,780万円
  1,890万円
最低税率    10%     18%   40%
 
    7%     5%
最高税率    70%     55%   30%    40%
税率の刻み数     9     18   1      7     7
(備考)1.国税収入は、日本は平成9年度決算額アメリカ、フランス、ドイツは平成8年度決算額、イギリスは平成9年実績見込額である。
   2.課税最低限は、相続人が配偶者と子3人の場合は、配偶者が遺産の1/2、子が残りの資産を均等に取得した場合の額で、相続人が子3人の場合は、子が遺産を均等に取得した場合の額である。
   3.ドイツの税率は、第1階級(配偶者及び子女等)の税率により、フランスの税率は配偶者及び直系血族の税率によった。なお、ドイツは単純累進税率である。
   4.邦貨換算は、次の率による。    1ドル=130円、1ポンド=215円、1マルク=72円、1フラン=21円
出所:政府税制調査会提出資料

[Reading List]
経済企画庁総合計画局編(1975)『所得・資産分配の実態と問題点−所得分配に関する研究報告−』
佐藤進・宮島洋(1979)『戦後税制史』税務経理協会 
橘木(1989)「資産価格の変動と資産分布の不平等」『日本経済研究』No.19.
橋本恭之(1991)「コーホート・データによるライフサイクル資産の推計」『桃山学院大学経済経営論集』第32巻第4号
橋本恭之(1992)「相続税改正の数量分析」『桃山学院大学経済経営論集』第34巻第1号.
福田幸弘(1985)『シャウプの税制勧告』霞出版社
本間正明(1991)『日本財政の経済分析』創文社。
本間正明・跡田直澄・林宏昭・橋本恭之(1995)『高齢者世帯の利子課税について』未公刊論文
Kotlikoff,L.J. and L.H.Summers (1981),“The Role of Intergenerational Transfers in Aggregate Capital Accumulation," Journal of Political Economy, Vol.89,No.4. 

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