趣 旨
日本では中小企業経営者の高齢化が進行しており、後継者不足から毎年7万社が廃業しています。これは、東日本大震災の陰で、隠れた大きな社会問題となっています。近年、さまざまな政策が打ち出されてきたのは周知の通りです。わが国では、これまで中小企業の事業承継問題は実務家の領域とされ,ごく最近まで研究者による学術的研究の対象とはされてきませんでした。
EUにおいても、わが国と同様に中小企業の事業承継問題は社会問題となっています。しかしながら、日本との違いとして、EUではフランスを中心に2000 年代初頭から、経営学分野における学術的研究の対象として確立されており、博士論文や学術シンポジウムのテーマとして定着しています。
このシンポジウムは、中小企業の事業承継問題をテーマにした、日本における初めての国際シンポジウムとして、フランスにおいて事業承継問題の研究をリードしている経営学研究者3人をお招きし、日本側からは、中小企業の事業承継問題についてのエキスパートと、老舗企業の研究者に登壇していただきました。
11月9日の東京日仏会館でのシンポジウムは研究者、実務家の方向けに、11日の関西大学でのシンポジウムは、研究者、実務家のみならず、学生・院生や広く一般の方向けに開催しました。
亀井 克之
日程
東京会場
- 日程
- 2011年11月9日 水曜日 18:00~
- 会場
- 東京 恵比寿 日仏会館 601会議室
- 定員
- 50名
- プログラム
- 詳細はこちら
大阪会場
- 日程
- 2011年11月11日 金曜日 13:30~
- 会場
- 大阪府 吹田市 関西大学 千里山キャンパス 尚文館1階マルチメディアAV大教室
- 定員
- 200名
- プログラム
- 詳細はこちら
特 色
- 1 我が国における初の試み:
- 中小企業の事業承継問題をテーマとした,学術的な国際シンポジウムの開催は日本では初めての試みとなる。
- 2 「事業承継」問題に学術的にアプローチ:
- 中小企業の事業承継問題は,日本では,実務家が携わる分野として扱われ,研究者による学術的研究の対象とはなってこなかった。一方,フランスでは,当シンポジウムに招へい予定のデシャン氏の博士論文を契機に事業承継問題が学術的研究のテーマとして確立されている。事業承継を専門とするフランスの一流研究者を招いて,日本側の研究者と実務家が,「いかに事業承継に学術的にアプローチするか」「どのように産学連携を進めるか」について討議,比較研究をすることは大きな意義がある。
- 3 「老舗大国」の両国による比較研究:
- 日本は創立100年以上の長寿企業数が世界で最も多い「老舗」大国である。フランスは,日本に次いで「老舗」が多い国の一つである。本シンポジウムでは,「どうして日本やフランスでは老舗が生き残ることができたのか」という命題にもサブテーマとしてアプローチする。老舗の事業承継という観点からの国際シンポジウムの開催も貴重である。