倫理学概論b

■講義概要
 
  倫理学(道徳哲学)と聞くと、倫理(道徳)を説くお説教だと思う人がいるかもしれない。それは誤解である。哲学とは、ふだんあたりまえと思われていることがらを根底から考えなおす営みである。したがって、倫理学とは倫理(道徳)についての哲学、つまり、社会生活のなかで自明ものとうけとられがちな倫理(道徳)を考えなおし、ついには、なぜ、倫理(道徳)的であるべきかと問いなおす学にほかならない。
 倫理学概論aでは、倫理学に関する一般的な説明をし、そののち、主として近代に展開された理論を参照しつつ、倫理学説のうち、基本的かつ重要なものを紹介する。
■到達目標

 

 

 

 この授業の到達目標は、@各倫理学説の内容の的確な理解であり、Aそれをとおして倫理的問題を考察する能力の習得にある。
 対象は、倫理学(道徳哲学)に関心ある学生、また、この科目を教職科目として履修する学生だが、いずれにしても、倫理学の基本知識をわかりやすく説明し、かつ、専攻学生・関連教科教員志望者に必要な専門的レベルへの到達をめざす。

■講義計画 <正義の概念>
§1 正義の概念(アリストテレス)
§2 正義と善(キケロ、トマス・アクィナス)
<リベラリズムとその系譜>
§3 ロックの社会契約論
§4 ロールズの社会契約論
§5 リバタリアニズム
<共同体主義とその系譜>
§6 共同体主義
§7 アリストテレスの徳倫理
§8 ヘーゲル@ 弁証法という思考法
§9 ヘーゲルA 人倫と道徳
<倫理と道徳の調停>
§10 討議倫理学
<正義・権利を基底とする倫理にたいする異議申し立て>
§11 ケアの倫理@ コールバーグの道徳性発達心理学理論
§12 ケアの倫理A ギリガンの道徳性発達心理学理論
§13 未来倫理(ヨナス)
§14 他者(レヴィナス)

§15    まとめと試験
■授業時間外学習  予習: 各回に次回のプリントを配布します。それを読んでおいてください。
 復習: 授業支援システムを利用して、毎回、前週の授業内容についての小テストを行います。設問の形式は、ほぼ選択式ですが、ときには授業中のノートをみれば分かる程度の、単語や語句で答える記述式の設問もあります。設問の量は、1回につき、 5問を原則とします。解答のための時間的余裕は、原則として、授業日の夜(ないし翌日)から次の授業日の前日(ないし当日)までです。設問の量は、1回につき、 5問を原則とします。解答のための時間的余裕は、原則として、授業日の夜(ないし授業日の翌日)から次の授業日の前日(ないし当日)までです。授業支援システムは、Webにつながっているパソコンがあれば自宅からも受験できますし、自宅のパソコン環境がそのようでなければ、学内のITセンターなどから受験できます。

■成績評価
の方法
 
 定期試験を行わず、平常試験(小テスト・レポート等)で総合評価する。

成績評価割合:授業支援システムによる小テスト(50%)、最終授業日に行う筆記試験(50%) 定期試験(筆記)の成績と平常成績で総合評価する。
■基準  講義概要に記したこの授業の到達目標@Aのうち、@については、授業支援システムの小テストによってその知識の正確さに応じて、Aについては、筆記試験によって問題の説明能力と論理的思考力によって到達度を査定する。
■教科書
 
品川哲彦   倫理学の話   ナカニシヤ出版   刊行が遅れるかもしれません。その場合は、プリントを配布します。

その他、引用文献についてのプリントを配布。
■参考書 リチャード・ノーマン   『道徳の哲学者たち 第2版』    ナカニシヤ出版   授業で扱う思想の多くをカヴァーし、哲学倫理学を専攻する学生に適。

宇都宮芳明・熊野純彦編   『倫理学を学ぶ人のために』   世界思想社   主題別に議論を紹介。

ジェームズ・レイチェルズ   『現実をみつめる道徳哲学』    晃洋書房   現代のトピックを切り口として代表的な倫理思想を紹介。

ロバート・M・ヴィーチ    『生命倫理学の基礎』      メディカ出版      生命倫理学の問題を切り口に代表的な倫理思想を紹介。
有福孝岳・訓覇曄雄(編)   『倫理学とは何か』   勁草書房   日本人の著者による通史的説明

担当者のホームページ(http://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~tsina)の倫理学の説明も参照されたい。
■備 考
 
 哲学・倫理学を学ぶ学生、公民・地歴・社会科をはじめとする教職免許を取得したい学生に対して、倫理学の基本的知識が確実に身につく内容の授業をすることを約束しますが、そのためには、予習し、授業に望み、復習小テストを受けることが必要です。授業中に私語をしたり、他の授業の準備をしたりするような注意散漫な学生、欠席がちな学生は履修しない方が賢明です。
 過去のこの授業科目に対する学生からの授業評価を担当者のホームページに掲載しています(上記のトップページから「教員の通信簿」をクリック)。履修するかどうか迷うひとは参照してください。

 講義のページにもどる