ここで示されているVuong (1989)検定の手続きは、OriginalのVuong (1989)検定の簡易版であり、以下の論文に基づいています。従って、検定の手続きは、Originalの検定手続きと若干異なっていますが、検定の結果に大きな影響を与えるものではありません。

太田浩司・松尾精彦(2004) 「Vuong (1989)検定の理論と応用―会計利益とキャッシュフローの情報内容―」 『武蔵大学論集』 Vol.52 No.1 pp.39-75.

松尾精彦(2004) 「Vuong testとその正規線形モデルへの適用法」 『関西大学経済論集』 Vol.54 No.1 pp.39-60.

STEP 1: Vuong (1989)検定とは、競合するモデルが存在する際のモデル間の優劣を統計的に検定するモデル選択検定です。R2でも、どちらのモデルが良いかは判りますが、その差が統計的に有意なものかどうかは判りません。Vuong検定を用いると、モデルの優劣を統計的に検定できます。ただし、Vuong検定は、R2とは異なる基準でモデルの良し悪しを測定していますので、R2の高低とVuong検定の結果が必ずしも一致するとは限りません。(今までに何度か、「Vuong検定って、R2の差の検定のことですよねー?」という質問を受けましたが、答えは残念ながらNOです。しかし私の経験から述べますと、R2の高低とVuong検定の符号は殆ど全て一致しています。)

STEP 2: 次に、Vuong (1989)検定では、競合するモデルを3種類に分けていますので、自分の検定したいモデルが次のどの場合かを確認して下さい。

( i ) Non-nestedモデル

Y = a0 + a1X1 + e
Y = b0 + b1X2 + e

共通の説明変数を持たないモデル間の検定です。

( ii ) Overlappingモデル

Y = a0 + a1X3 + a2X1 + e
Y = b0 + b1X3 + b2X2 + e

共通の説明変数(X3)を持つが、それぞれ固有の説明変数(X1 と X2)も持つモデル間の検定です。

( iii ) Nestedモデル

Y = a0 + a1X1 + e
Y = b0 + b1X1 + b1X2 + e

一方のモデルの全ての説明変数(X1)は、他方のモデルの説明変数(X1 と X2)の一部であるというモデル間の検定です。

STEP 3: 検定したい競合モデルが、Non-nestedモデル、Overlappingモデル、Nestedモデルの3種類のどのモデルであるかが判れば、以下のExcelファイルをダウンロードして、該当するモデルの名前が付いているSheetをクリックして下さい。具体的に、分り易い実例がExcelで示されています。なお、このExcelで示されているVuong (1989)検定の方法は、正規線形回帰モデルにのみ適用可能です。

Excelで行えるVuong (1989)検定(69.5KB)
(Download: ポインターをファイル名の上 → 右クリック → 対象をファイルに保存)

【お詫び】 最後になりましたが、私の怠惰ゆえに、このVuong検定をExcelで行う方法の作成が遅れまして、多くの方々に御迷惑をお掛けしましたこと、ここに深くお詫び申し上げます。 2004/12/18 太田浩司

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