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関西大学経済実験センター ワークショップのお知らせ
2015年3月17日・18日 
会場:関西大学経済実験センター(関西大学ソシオネットワーク戦略研究機構内))
会場へのアクセスはこちら

日本における経済実験環境のコンソーシアム化をめざして

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 今般関西大学では私立大学戦略的研究基盤形成支援事業に採択されまして、経済実験プロジェクトを推進しております。現在は経済実験室の設置に重点を置いているため正式なHPの設置が後回しになっておりますが、社会人、特に高齢者を中心にした実験参加者の経済行動を収集し、学問の世界および社会への成果の還元を目標にしております。同時に、経済実験室を研究者に広く開放して使用してもらいながら、経済学や広く社会科学における実験研究の普及をいっそう進めたいと考えております。

 今回企画しましたのは、後者の実験研究の普及のためのワークショップです。ご存じのように国際学術誌に出版される近年の実験研究では、参加者数の大規模化が著しくなっています。1つの研究を完成させるのに500名を超す実験参加者からの協力を得るといったことも珍しくありません。日本では2000年以降多くの経済実験室が設置されましたが、世界的な趨勢である経済実験の大規模化に対応できる体制が整っていないのが現状です。

 本ワークショップでは現在の世界的な潮流となっております、
経済実験の大規模化について参加者のみなさまと議論し、日本の経済実験環境が世界にキャッチアップするための一助となればと考えております。とくに、(1)大学間での被験者プールの共有および(2)研究課題の共有と実験用ソフトウェアなどを配布できる共通環境を構築し、実験経済学の世界標準にキャッチアップするための機会を提供したいと思っています。(1)は言うまでもなく大規模実験を行うために不可欠ですし、(2)も大規模実験を行う際には共通ソフトウェアを用いて実験条件を整えなければなりませんので、やはり不可欠な課題です。

 本ワークショップでは下記招待報告者を迎え、上記諸点について議論し、何らかの方向性を得たいと考えております。特にRaven's testの経済学への応用についてはおそらく日本で最初のまとまったワークショップになります。是非ともご参加いただければ幸いです。
 詳しい情報は以下をご覧下さい。


3/17

9:00-9:30:受付
関西大学ソシオネットワーク機構6F会議室


9:30-12:30:オープニングセッション:経済実験環境のコンソーシアム化をめざして
関西大学ソシオネットワーク機構6F会議室


9:30-9:45 Opening Note:ワークショップ開催の趣旨説明:小川一仁(関西大学経済実験センター)
関西大学ソシオネットワーク機構6F会議室


9:45-10:30 経済実験の大規模化にどう対応するか-Raven's Testの導入と謝金スケールの標準化-:渡邉直樹 (筑波大学)
関西大学ソシオネットワーク機構6F会議室


このトーク(小川と渡邊)では、まず、大学をまたいだ被験者募集を可能にするRaven testについての説明をいたします。また、ヨーロッパなどの研究者の間では、被験者に与えるインセンティヴに関わる謝金スケールについて、ある程度の標準化がなされております。ただ、その方法やスケールには、最近、意思決定理論の面から異議がだされてもいます。日本における実験コンソーシアム構想実現のためには、この謝金スケールについても議論しなければなりません。このトークでは、最近書かれた意思決定論の論文を基に、謝金スケールについて問題提起いたします。


10:40-11:40 Cognitive ability and the effect of strategic uncertainty(with Nicolas Jacquemet, Stephane Luchini, Adam Zylbersztejn): 花木伸行(Aix-Marseille University)
関西大学ソシオネットワーク機構6F会議室


このトークでは、何故、ゲーム理論の実験では被験者の認知・推論能力の分布をRaven's scoreによって制御しなければならないかを説明します。実際の実験結果に基づく問題提起です。市場実験において、各被験者は価格を媒介として他の被験者の意思決定と関わっております。しかし、ゲーム理論の実験では、互いの意思決定が直接かかわり合いを持ちます。その意味で、既存の実験デザインはゲーム理論の実験にbest fitしているとはいえません。認知・推論能力だけでなく、被験者の先読み推論能力についても制御する必要もあるでしょう。


11:45-12:15(最大13:00まで) マッチングスピーチI(司会:栗野盛光(筑波大学))
関西大学ソシオネットワーク機構6F会議室


本ワークショップでは、研究者同士のマッチングマーケット(お見合いセッション)を開設いたします。理論が得意なひと、実験用コードを書くのが得意なひと、データ解析に関する高度な知識をもつひと、実験のデザインに特別なひらめきをもつひとをマッチし、新たな共同研究が始まることを期待しています。運営はマッチングの分野で最先端の論文を発表している栗野氏が担当します。

なお、お見合いセッションでのマッチングを円滑に進めるため、各参加者にショートトーク(1-2分)を行っていただきます。ご自身の得意な分野、ご関心をご披露ください。30分で終わらないことも考えられますので、ランチ持参が最善です。

※お見合いセッションにつきましては、以下のように進めて行きたいと思います。

1)理論(アイデア提供も含む)、プログラミング、実験環境の提供、データ解析、その他と5つのカテゴリーに分け、ご自身の得意なカテゴリーをウェブ登録時に申告いただきます。複数申告いただいてもかまいません。

2)ワークショップ参加受付におきまして、各カテゴリーのシールを用意しておきますので、申告されたもののシールを名札に貼ってください。複数申告された方は複数のシールを貼ってください。

3)17日のお昼休み前にマッチングスピーチの時間を設けます。1-2分でご自身の関心がある分野やご提供できるカテゴリー、研究を進めたい分野などをお話しいただけたらとおもいます。

4)お見合いセッションの時間帯をお使いになりながら、共同研究のご相談、あまり出会わなかった方の間での意見交換などを行っていただき、研究の推進や研究者間の交流の一助になれば幸いです。


午後の部

講義室で実験内容の説明を受けた後、実験室にて、実験用プログラムの使い方やデータ構造の説明を聞くことができます。実験用プログラムは原則、参加者に無償提供されます。各自、所属先に戻って、自由に追加
実験などを行えます。Raven's testについては、テストそのものに著作権があるため、約290ポンドでテストキットを購入いただいた学校に実験用z-treeコードを配布いたします。テストキット購入方法などに関するガイダンスも行います。short talkでは、発表希望者による研究発表を行っていただきます。発表時間は、希望者数にもよりますが、15-30分を予定しています。



  Room 1 (5F実験室) Room 2 (6F会議室) 
 13:30-14:30   お見合いセッション (司会:栗野森光)
     司会:船木由喜彦(早稲田大学) 
14:40-15:40  Raven testに関する解説(渡邉) マッチング・マーケットデザイン実験論文のサーベイ:栗野盛光(筑波大学)
 15:50-16:50 オークションプログラムに関する解説2(渡邊)  Sustaining cooperation in social dilemmas: Comparison of centralized punishment institutions:竹内あい(立命館大学)
 17:00-18:00 実験プログラムに関する解説(竹内あ) short talk I 

長久領壱(関西大学)「社会的選択と厚生経済学に関する幾つかの研究課題に関して 」
黒川博文(大阪大学)Interval Effect on Time Preference Elicited by the Convex Time Budget Method
山邑紘史(東京工業大学) TBA
舛田武仁(日本学術振興会) TBA


18:20-懇親会  紫紺(関西大学100周年会館内)
会費は3500円です。



3/18


  Room 1 (5F実験室) Room 2  (6F会議室) 
9:30-10:30  Raven testに関する解説(渡邉) TBA:竹内幹(一橋大学) 
10:50-11:50  実験プログラムに関する解説(竹内幹)  Coalition Formation in a Weighted Voting Experiment(渡邊)
11:50-12:30 経済実験環境のコンソーシアム化に関する討論と意見調整 司会:渡邉


12:40-13:40 ランチタイムセミナー

マッチングトークやお見合いセッションで話しきれないようなアイ
デアやデータ処理、実験方法を披露して下さい。スライド無しのホワイトボードを使ったトークでも構いません。ランチは各自持参して参加してください。
フォーマルなトークである必要はありません。ポスターセッションの代わりとしてご活用下さい。


  Room 1 (5F実験室) Room 2  (6F会議室) 
14:00-15:00 実験プログラムに関する解説(渡邊) How do experienced traders respond to inflows of inexperienced traders? An experimental analysis (with 花木伸行(Aix-Marseille大学)、石川竜一郎(筑波大学)):秋山英三(筑波大学)
15:10-16:10 実験プログラムに関する解説(秋山) An experimental investigation of a third-person enforcement in a prisoner’s dilemma game:小川一仁(関西大学)
16:20-17:20 実験プログラムに関する解説(小川)  Short Talk II
高橋広雅(広島市立大学)「携帯電話を用いた簡易経済実験システムについて」
藤井陽一朗(大阪産業大学) 「実験経済学による教育手法の開発:経済学部生を対象としたアプローチ」
川村哲也(京都大学) TBA


17:30:Closing Note 小川