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当研究室では,地盤災害による犠牲者をゼロにすることを目標に,工学的観点から教育・研究に取り組んでいます.

TEL. 06-6368-0898

〒564-8680 大阪府吹田市山手町3-3-35
関西大学 第4学舎 第6実験棟4F 地図

研究方針CONCEPT

研究方針
 

地盤防災工学とは,関連するさまざまな工学・理学分野と協力し,地盤工学の視点で自然災害による被害を軽減すること,並びに合理的に構造物を設計することを目的とする工学分野です.現在,世界規模で地震,豪雨,土砂災害などの自然災害が頻発しています.わが国においても,2011年東北地方太平洋沖地震後の津波で,原子力発電所が被災し,その後汚染水の浄化,廃炉に向けて国の英知が結集されています.本研究室では,解決が強く求められている社会的問題に挑戦するため,地盤工学および地震工学の観点から研究を行います.
教育活動に対する抱負と展望
 講義,研究室ゼミ,卒業・修士・博士論文のための研究活動などあらゆる機会を通じて,やればできる,という経験を積み重ねられるような教育をしたいと考えています.本気でやれば大抵のことはできる,ということを身をもって体験してほしいと考えています.なぜなら,その成功体験こそが卒業後,自分の力で道を切り開く力になるからです.これは,私自身が実体験してきたこと,例えば,新しい研究分野への挑戦や粘り強く考えて答えを導くことなどから学んだことでもあります.自分が本当にやりたいことなら,自分で考え本気で取り組むことができます.
 さらに,将来,国の内外を問わず社会基盤の整備に携わる実務あるいは研究においてリーダーとなる人材育成を図りたいと考えています.このためには,例えば,学生を連れて建設現場の見学に出かけ,仕事に対する興味を持つきっかけ作りの場を積極的に設けたいと考えています.加えて「自分は世界のどこにいてもやっていける」という自信を持つことができれば,その人の幸せにつながります.このためには語学力を磨くことも必要になります.自分で道を切り開くことのできる視野の広い学生を,先達としての愛情を持って育て,社会に送り出したいと考えています.
研究計画
 研究活動としては,地盤・構造物系の性能向上のための研究を積極的に進めたいと考えています.これまで,私は地盤・構造物系の変形・被災メカニズムの解明,災害の抑止に関して,主に地盤工学および地震工学の観点から,数値解析的手法と実験的手法を融合させた研究を行ってきました.今後も上記二つの手法を駆使し,あるいは手法そのものの高度化に関する研究開発を通じて,地盤・構造物系の性能向上に資する研究を行います.また,研究活動の原動力となる災害調査についても,内外の研究者と連携し,積極的に行いたいと考えています.また,研究成果の公表についても,論文投稿や対外発表を通じてこれまで以上に励みたいと考えています.現在,主に以下のテーマについて研究しています.

模型実験の高度化,精密化
 模型作成方法,計測方法,効果的な可視化法,新たなセンサーの開発などを通じた実験手法の高度化,精密化が課題であると考えています.近年,数値解析手法の高度化とともに,その妥当性の検証手段としての模型実験の重要性が高まっています.模型実験および室内要素試験に関しては,これまで約12年間携わっており,その間に自ら実験技術を習得し蓄積するとともに,地盤・構造物系の地震時被災メカニズムの解明と,数値解析手法の高精度化に資する実験を行ってきました.また,数値解析モデルの妥当性について,遠心模型実験結果を通じて検証するための国際プロジェクトLiquefaction Experiment and Analysis Project (LEAP)の主要メンバーとして,国内外の研究者とともに活動しています.今後も継続してより高精度な計測方法を開発し,また模型作成者に依存しない模型作成法の提案などを通じ,模型実験の可能性とその適用限界を明らかにしていきたいと考えています.

地盤に関する数値解析モデルの高度化
 地盤工学分野では,地盤の数値解析モデルの適用性は広く受け入れられるようになってきました.しかし,学際領域での地盤工学分野の数値解析モデルは未だほとんど手が付けられていない領域であり,社会的に大きな貢献ができる分野です.例えば,放射性廃棄物の超長期にわたる管理型処分場の安定解析や海底資源採掘における安定解析等では,地盤工学の知見も有用であると思われますが,問題が複雑なため,まだ地盤工学分野では研究が進んでいません.また,近年頻発している豪雨による土砂災害についても,社会的なインパクトが大きいにもかかわらず数値解析によって被害を予測することはできていません.このような学際分野において,現在,私は室内要素試験と数値解析の両面から火山灰質斜面の地震時崩壊性地すべりのメカニズム解明に興味を持って取り組んでおり,今後も継続して研究したいと考えています.

「地盤強度低減化耐震対策工法」に関する研究
 地盤と構造物の地震時相互作用問題では,地盤強度の低下とともに,それまで構造物を支持していた地盤が,逆に外力として作用するようになり,構造物が損傷することが知られています.私が提案する「地盤強度低減化耐震対策工法」では,構造物表面に取り付けた山形鋼などの鋭角部を有する部材によって局部的に地盤を破壊し,地盤強度を低下させることで構造物の損傷を抑えようとするものです.これまで,大型の遠心力載荷実験装置を用いた実験により液状化地盤中の埋設管の沈下量を低減できることを明らかにしました.しかし,本対策工法が適用できる構造物の種類や適用条件などについては,まだ良くわかっておらず,今後明らかにしなければならないと考えています.本対策工法は「地盤は強くなければならない」という地盤工学の常識とは反する考え方です.しかし,すでに液状化を利用した耐震工法なども提案されていることから「地盤は場合によっては弱くても良い」という設計思想の領域を広めたいと思います
当研究室に配属される学生へ
 研究を進める上で,基礎的な講義内容を学習し習得しておくことは重要ですが,それ以上に大事なのは課題に対する好奇心です.与えられた課題に対し好奇心を持って取り組めるよう自分で考えることが大切です.教員の役目はそれをサポートすることですが,はじめは言われるがまま単純に作業することになるかもしれません.しかし,学部または修士課程での研究論文執筆後には,自信を持って社会人としてスタートできるはずです.

バナースペース

地盤防災工学研究室

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FAX 06-6330-3770(代表)
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