定点観測に基づくモバイル分布密度の推定

相原 聖

学士学位論文, 2006

Abstract

現在,携帯電話網などに代表される広範囲な通信エリア(セル)内におけるノードの移動 モデルについては多くの研究が行われている.しかし,ユビキタス環境における比較的狭い 範囲で,ロケーション(観測対象)の持つ様々な特性が無視できないような状況となった場 合においての研究は行われていない.ここでロケーションの持つ特性とは,ロケーション内 に存在するノードの移動に対して影響を与える要因のことである.例えば,ノードが車の場 合には,幹線道路,交差点,一方通行の道路などがロケーションの特性として挙げられる. 一方,ノードが人の場合には,道路沿いの建物,道路内の障害物などがロケーションの特性 を表す.これらのロケーションにおいて,セル全体を常に観測することは非常に困難である が,セルに対する出入りを観測することは比較的容易である.出入数からセル内のノード数 の分布を推測することが出来れば,セル内におけるノード間の疎通問題や通信容量増大を目 的とした無線アクセスポイントの配置問題を解決することが可能となる.そこで本報告では,ノードとして人に着目し,ロケーションごとに適したセル内のノード の移動モデルについて検討する.セル内のノードの分布密度に関して,セル内を格子状に分 割して作られる各領域ごとに実測値と移動モデルによる計算値を比較することで,移動モデ ルの妥当性を評価する.ロケーションには1)大阪大学共通教育棟イ号館前の通路,2)大 阪大学サイバーメディアセンターと図書館下食堂間の通路を用いた.また,出入数に基づく モデル化として,比例配分法と相関配分法を評価の対象とした.結果,ノードの動きに一定 の流れが存在する1)では相関配分法が適し,ノードの動きがややランダムである2)では 比例配分法が適した.

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    相原 聖, 定点観測に基づくモバイル分布密度の推定, Ph.D. Dissertation, 大阪大学, 学士学位論文, March 2006.

    BibTex Reference

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