疎密度モバイルアドホック網における遭遇回数を考慮した時刻同期

飴村 壮史

学士学位論文, 2010

Abstract

複数端末からなるネットワークシステムにおいて端末間の時刻同期は重要な課題である.現在,時刻同期方式として広く普及しているのはNTPであり,各端末は正確な時刻源を持つサーバとネットワークを介して定期的に通信を行うことで,時刻同期を実現する.しかしながら,無線ネットワークでは通信の信頼性が低下するため,NTPによる時刻同期は容易ではない.さらに,近年では,宇宙空間,水中などネットワークインフラが存在せず,また端末密度が非常に疎な環境下での通信の実現が求められている.こうした疎密度モバイルアドホック網においては,ほぼ常時直接通信可能な端末が存在しないことから,既存の枠組みでの時刻同期が困難となる.疎密度モバイルアドホック網での時刻同期を目指した方式の一つに我々の研究グループで提案している平均法がある.平均法とは端末遭遇時に互いの時刻情報を交換し,それぞれの時計をその平均値に調節することで時刻同期を実現する方式である.ここで平均を取るという単純な仕組みを改良することで時刻同期の精度向上が期待できることに注目する.例えば他端末と多く遭遇している端末はより正確な時刻情報を持つ可能性が高くなる.そこで本研究では,遭遇頻度を考慮した重み付き平均を用いることで,収束速度の向上を目指す.自身の遭遇回数そのものを重みとする加算重み付き平均法と自身と遭遇相手の遭遇回数の和を重みとする累積重み付き平均法を提案する.この2つの重み付き平均法に平均法を加えた3つの方式に対しシミュレーション評価を行う.比較評価の結果,重み付き平均を用いることで収束速度が向上することを示す.

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    飴村 壮史, 疎密度モバイルアドホック網における遭遇回数を考慮した時刻同期, Ph.D. Dissertation, 大阪大学, 学士学位論文, March 2010.

    BibTex Reference

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