ピア間距離を考慮した高効率帯域交換型 P2P ネットワーク構築手法

古田 芳英

修士学位論文, 2011

Abstract

近年,端末(ピア)自身がクライアントとサーバ両方の役割を担い,直接ピア間でファイルをやりとりするPeer-to-Peer (P2P)ファイル共有システム(BitTorrentなど)が注目されている.本研究では,効率的なファイル取得実現のために,まず転送単位をピース(ファイルの断片)とし,各ピア間のピースの転送速度が一定であるシステムを想定する.次に,このシステムにおいて,ピアにとっての合理的な行動が,自身のアップロード帯域を他のピアに提供せず,自身のピースの取得のみを行う行為であることを示す.これはゲーム理論における囚人のジレンマゲームとしてモデル化できる.囚人のジレンマゲームにおいては,互いに協力する場合にピースの交換効率が最大となるため,ピア間のファイル共有(帯域交換)を促すためには協力的な関係の構築が必須となる.協力的な関係の発現メカニズムに関しては,進化ゲーム理論を用いた検討が行われているため,本研究ではこれらの知見を基に,ピア間での協力関係を促す仕組みを提案する.具体的には,(I1)ピアの接続関係の優位性の判断,(I2)協力的な関係を築いているピア群の拡大と(I3)非協力的な関係を築いているピア群からの離脱の三つの仕組みを導入する.さらに,この仕組みにおいて帯域制約の下,接続相手を選択する際にIPネットワークの特性を考慮に入れることで,効率的な帯域交換に加え,隣接ピア間の応答性向上を目指す.提案手法の有効性については,帯域交換の効率性や隣接ピア間の平均距離の観点からシミュレーションにより評価する.アクセス回線速度の分布によらず,高効率な帯域交換を実現できると同時に,それに加え隣接ピア間の距離を平均よりも短縮できることを示す.

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    古田 芳英, ピア間距離を考慮した高効率帯域交換型 P2P ネットワーク構築手法, Ph.D. Dissertation, 大阪大学, 修士学位論文, March 2011.

    BibTex Reference

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