交通渋滞の問題は,道路を資源とみなすとゲーム理論における資源割当問題としてモデル化できることが 知られている.あるユーザの経路決定は,その経路に含まれる道路の利用とみなせるため,すべてのユーザに対する 経路の決定は,各道路へのユーザの割当を決めることに等しい.既存研究では,ユーザの経路選択基準として,全体 の総旅行時間の最小化を目的とした社会最適と自身の旅行時間の最小化を目的としたユーザ均衡という二つの考え方 に基づく,分散型経路選択方式が提案されている.ただし,各ユーザが経路の競合相手に関する情報を常に把握して おり,全てのユーザはユーザ均衡または社会最適のいずれかの目標に従って行動することを前提としている.一方で, 自動運転への移行の過渡期や通信環境に制限のある災害時の避難誘導などの状況では,経路情報を提供するサーバの 指示に従い社会最適な行動をとる協調ユーザと自身の判断を優先する利己的ユーザが混在する状況が想定される.そ こで本稿では,既存の分散型経路選択方式に対して,利己的なユーザの割合やサーバ {$cdot$} ユーザ間での情報共有が与え る影響を目的地までの旅行時間の観点で明らかにする.数値実験を通して,サーバがすべてのユーザの社会最適な経 路割当情報を各ユーザに対して周知することで,ユーザの利己的行動に対するロバスト性を向上できることを示す.
原 崇徳, 笹部 昌弘, 笠原 正治, 道路網におけるユーザの利己的行動と情報共有が分散型経路選択方式に与える影響, 電子情報通信学会技術研究報告(コミュニケーションクオリティ研究会), 118(8), pp.59-64, April 2018.
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