大規模災害発生後,避難者は迅速に避難先に移動する必要がある.既存研究では,避難者とモバイル端末,モバイル端末とネットワークが連携することで避難誘導の自動化を実現する方式が提案されている.ただし,避難経路に関しては最短経路が用いられており,避難経路の安全性に関しては十分に検討されていなかった. そこで本稿では,避難経路の長さと信頼性を考慮した経路選択方式を提案する.まず既存アルゴリズムを用いて,避難者の現在地から避難所までの推薦経路の候補を経路長の昇順に$k$ $(k geq 1)$本求める.次に,それら$k$本の候補の中から,道路閉塞確率を基に導出した経路信頼度が最大となる推薦経路を避難者に掲示する.ここで道路閉塞確率とは,災害時に当該の道路が通行不能となる推定確率を表すが,近年,名古屋市のような一部の自治体においてこのような道路閉塞確率の情報を取得することができる.シミュレーション評価により,通信環境によらず,適切な推薦経路の候補数$k$を用いることで,避難行動中の通行不能箇所の遭遇回数を削減できるとともに,従来の最短経路選択と比較して平均避難時間,最大避難時間の増加を抑えられることを示す.
原 崇徳, 笹部 昌弘, 笠原 正治, 避難者・モバイル端末間連携型自動避難誘導における経路の長さと信頼性を考慮した避難経路選択方式に関する一検討, 電子情報通信学会技術研究報告(ネットワークシステム研究会), 116(484), pp.517-522, March 2017.
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