高効率かつ公平な帯域交換型 P2P ネットワーク構築手法

長谷川 雅史

学士学位論文, 2012

Abstract

近年,OSなど大容量のソフトウェアを多数の端末に配布するための仕組みとして,Peer-to-Peer (P2P)技術を利用したBitTorrentの利用が広まっている.各端末(ピア)はファイルの取得と提供の両方の機能を有しており,特にBitTorrentではピアの積極的なアップロードを促すために,ゲーム理論に基づくしっぺ返し戦略が導入されている.しっぺ返し戦略の結果,相手からのダウンロード速度が速いピアほど自身のアップロードの対象として選ばれやすくなる.このように,BitTorrentは帯域交換型P2Pネットワークを形成していると見なすことができる.既存研究では,このしっぺ返し戦略に基づく取得先・提供先ピアの選択をコネクションゲームとしてモデル化し,その特性を評価している.本研究では,単純なしっぺ返し戦略を用いるだけでは,帯域交換の効率性や公平性の観点で必ずしも優れたネットワークを構築できないことを示すとともに,その解決策を提案する.提案手法では,従来モデルにおけるリンクの確立・破棄に加えてリンクの切り替えの概念を組み込むことにより,接続関係の改善を可能とする.提案手法の有効性について,シミュレーションを用いて帯域交換の効率性と公平性の観点から評価する.提案手法により構築される帯域交換型P2Pネットワークが構築途中の過渡状態と安定状態の両状態においてより優れた帯域交換の効率性と公平性をもつことを示す.

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    長谷川 雅史, 高効率かつ公平な帯域交換型 P2P ネットワーク構築手法, Ph.D. Dissertation, 大阪大学, 学士学位論文, March 2012.

    BibTex Reference

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