被災地域でのDTNにおけるメッセージの宛先・優先度を考慮した送信制御・バッファ管理手法

廣野 智秋

修士学位論文, 2023

Abstract

大規模災害が発生した際,被災者の安全な避難所への誘導,減災のための情報配信,被災者の安否確認,など,正確かつ迅速な情報共有が求められる.一方で,既存の通信インフラが破損や輻輳により利用できなくなる恐れがあり,エンド端末間に安定した通信経路が常に存在するとは限らない.そこで被災者の所有するモバイル端末間での近接無線通信を基盤としたDelay Tolerant Networking (DTN)が注目されている.DTNでは,蓄積・運搬・転送型方式と呼ばれる,各移動端末が他端末との交信毎に互いに保持するデータ(の一部)を共有することで,エンド端末間での通信を実現する.本論文では,公共性が高く,領域内の全端末が宛先となるメッセージと,個人間での安否確認など,特定の端末宛となるメッセージが混在する状況を想定し,公共性の高さから前者を高優先度,後者を低優先度のメッセージとして扱う.メッセージの優先度,宛先,鮮度などを考慮した送信制御とバッファ管理手法を組み合わせることで,高優先度メッセージに関しては高い拡散率,低優先度メッセージに対しては高い到達率の実現を目指す.避難所近辺の領域内での情報共有を想定したシミュレーション評価により,提案手法を用いることで,平均で100%に近い拡散率と約80%の到達率を実現できることを示す.

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    Text Reference

    廣野 智秋, 被災地域でのDTNにおけるメッセージの宛先・優先度を考慮した送信制御・バッファ管理手法, Ph.D. Dissertation, 奈良先端科学技術大学院大学, 修士学位論文, March 2023.

    BibTex Reference

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        author = "廣野, 智秋",
        type = "{修士学位論文}",
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        year = "2023",
        month = "March",
        school = "奈良先端科学技術大学院大学"
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