端末の密度分布を考慮した移動型センサ端末展開手法

石黒 寛

修士学位論文, 2010

Abstract

センサネットワークにおける多くの既存研究では,静止型センサ端末が所望の位置に配置されていることを前提としている.しかし,静止型センサ端末を所望の位置に配置することは困難である場合が多い.例えば,有毒ガスが蔓延している建物内や惑星調査などでは,人手により静止型センサ端末を配置することが事実上不可能である.こうした問題に対し,近年移動型センサ端末の利用が考えられている.従来の静止型センサ端末とは異なり,移動型センサ端末は移動する機能を有しているため,仕様や環境の変化に対して柔軟にセンサネットワークを構築できる.自律分散的に移動型センサ端末を展開する手法としてボロノイ図を用いたVOR (Voronoi-based algorithm)が提案されている.VORでは領域をできるだけ広く観測できるよう移動型センサ端末を展開する.その結果,端末の密度分布は一様分布に従う.一方で,シンク端末から近い領域ほどより詳細に調査したい場合や観測領域をより長期間観測したい場合には必ずしも一様分布が適さないことが示されている.このようにセンサネットワークの利用目的によって求められる端末の展開方法は異なると考えられる.さらに,観測はシンク端末を起点に行われることを考慮し,本研究では,シンク端末からの距離に応じて任意の密度分布に従う配置に移動型センサを展開するための手法を提案する.提案手法は,VORと座標変換の技術を組み合わせることで以下のように実現できる.まず,各移動型センサ端末は自身と周辺端末の座標を所望の密度分布を考慮した仮想平面上にマッピングする.その後,VORにより仮想平面上で一様分布に従うよう移動型センサ端末を展開する.その結果,実平面上では所望の密度分布に従うよう端末は展開されることとなる.シミュレーション評価により,提案手法を用いることで,移動に要するコストを抑えながら,自律分散的に所望の密度分布に移動型センサ端末を展開できることを示す.

Downloads

    Text Reference

    石黒 寛, 端末の密度分布を考慮した移動型センサ端末展開手法, Ph.D. Dissertation, 大阪大学, 修士学位論文, March 2010.

    BibTex Reference

    @phdthesis{ishiguro10mthesis,
        author = "石黒, 寛",
        type = "{修士学位論文}",
        title = "{端末の密度分布を考慮した移動型センサ端末展開手法}",
        year = "2010",
        month = "March",
        school = "大阪大学"
    }