フェリー支援型DTNにおけるクラスタ間の近傍性を考慮した訪問順序決定方式

泉 芳明

修士学位論文, 2015

Abstract

近年,過疎地における安価な通信インフラや被災地における緊急用ネットワークの構築が求められている.このような環境では,既存の通信インフラが存在しない,もしくは(一時的に)使えないことから,任意のエンドノード間での通信路の確保が困難となる.そこで,無線通信可能な移動ノードを導入することで蓄積運搬転送型の転送方式を用いた遅延耐性ネットワーク(DTN: Delay Tolerant Network)の利用が検討されている.本研究では,過疎地における村,被災地における避難所といった孤立した拠点を複数のノードで構成されたクラスタとみなし,クラスタ間をメッセージフェリーと呼ばれる特別な移動ノードがデータの中継のために巡回するフェリー支援型DTNを想定する.なお,一部のクラスタには外部ネットワークとのアクセス回線を備えたシンクノードを有する特別なクラスタ(ベースクラスタ)があるものとし,各クラスタ内のノードはメッセージフェリーの支援の下,シンクノードを介して外部ネットワークと通信を行う.このようなフェリー支援型DTNでは,フェリーのクラスタ訪問順序が,配送遅延に影響を与える.ここで配送遅延とは,各ノードで発生したデータがフェリーによってシンクノードに届けられるまでの時間である.既存研究では,巡回セールスマン問題(TSP:TravelingSalesmanProblem)に基づく型訪問順序とポーリングモデルに基づく訪問順序が提案されている.本研究では,クラスタ間の近傍性を考慮することでこれら既存の訪問順序の長所を備えたハイブリッド型訪問順序決定方式を提案する.シミュレーション評価により,ハイブリッド型訪問順序が既存の訪問順序と比べて匹敵する,もしくはより短い平均配送遅延を実現できることを示す.

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    泉 芳明, フェリー支援型DTNにおけるクラスタ間の近傍性を考慮した訪問順序決定方式, Ph.D. Dissertation, 大阪大学, 修士学位論文, March 2015.

    BibTex Reference

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        year = "2015",
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