データセンタ間通信におけるピークトラヒック量制約を考慮したオーバレイマルチキャスト

金子 元紀

修士学位論文, 2015

Abstract

近年,クラウドサービスを提供するサービス事業者によるデータセンタの活用が広まっている.サービス事業者はサービス品質の向上や大規模災害への耐故障性向上を目的に複数拠点での連携を強める取り組みが進んでいる.このように地理的に離れた複数のデータセンタを利用して,メンテナンス用の通信を行うためにオーバレイマルチキャストの利用が考えられる.データセンタ間通信では,データセンタ内の端末は基本的に常時起動されており,またデータセンタ自体がインターネットにおけるコアネットワーク付近に位置しているという特徴がある.このような状況では,IPネットワークのトポロジ情報を積極的に活用した最適設計が比較的容易に行える.既存の研究では,IPリンクの容量が与えられた場合にマルチキャストのトラヒック量を最大にするマルチキャスト木集合選択問題が定式化されている. 本研究では,サービス提供のためにデータセンタ間を流れるトラヒック(メイントラヒック)がユーザからの需要に応じて時間的に変動するという点,データセンタを利用するサービス事業者が負担するアクセス回線の利用料がある期間内のピークトラヒック量で決まるという点を考慮し,回線容量の余剰帯域を利用したマルチキャストの実現を目指す.まず,想定する問題をピークトラヒック量制約付きマルチキャスト最大化問題として定式化する.ただし,この定式化では,メイントラヒック量の変動やピークトラヒック量を事前に把握できるという理想的な環境を想定した問題となる.そこで本研究では,実システムを想定し,メイントラヒック量とピークトラヒック量の予測・推定を行う手法を提案する.シミュレーション評価により,マルチキャストトラヒック量とマルチキャスト導入による生じる超過トラヒック量の観点で提案手法の有効性を示す.

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    金子 元紀, データセンタ間通信におけるピークトラヒック量制約を考慮したオーバレイマルチキャスト, Ph.D. Dissertation, 大阪大学, 修士学位論文, March 2015.

    BibTex Reference

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