避難者・モバイル端末間連携に基づく自動避難誘導における渋滞考慮型経路選択

笠井 裕貴

修士学位論文, 2017

Abstract

大規模災害発生後,被災者は迅速に安全な避難先へ移動する必要がある.このような迅速な避難支援を目的に,避難者が所有するモバイル端末を用いた自動避難誘導方式が提案されている.ただし既存研究では,避難所までの最短距離に基づく距離優先型経路選択を用いており,特定の道路への避難者の集中による渋滞が避難時間へ与える影響が考慮されていない.そこで本研究では,自動避難誘導方式における渋滞を考慮した経路選択方式を提案し,その有効性を検証する.まず,道路上の人口密度と同方向に移動する避難者内での順番に応じて各避難者の移動速度が決まる渋滞モデルを定義する.この渋滞モデルに基づき各道路の通行時間を示すコストを定義する.各避難者は,自身の端末が残存する通信インフラストラクチャ(通信インフラ)もしくは他の端末と通信することにより,通行不能箇所と他の避難者の位置に関する情報を収集し,避難所までの総コストが最小となる経路を選択する.シミュレーション評価により,従来の距離優先型経路選択と比較して,渋滞考慮型経路選択は混雑度が増すほど,平均避難時間および最大避難時間の観点で改善効果が高いことを示す.また,通信インフラの被災により情報共有の機会が厳しく制限される状況においても有効であることを示す.

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    笠井 裕貴, 避難者・モバイル端末間連携に基づく自動避難誘導における渋滞考慮型経路選択, Ph.D. Dissertation, 奈良先端科学技術大学院大学, 修士学位論文, March 2017.

    BibTex Reference

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        year = "2017",
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