ネットワーク機能を汎用サーバ上でソフトウェアとして動作させる技術がネットワーク機能仮想化(Network Functions Virtualization: NFV)として注目されている.NFVネットワークでは,任意のネットワークサービスはサービスチェインと呼ばれる,仮想ネットワーク機能(Virtual Network Function: VNF)の連なりとして表現できる.サービスチェイン要求がNFVネットワークに到着すると,必要とするノードやリンクの資源制約とVNFの実行順を保証した上で,始点から終点へと至る経路(サービスパス)をサービスブローカが構築・提供する.本稿では,このようなサービスチェイニング問題において,自身の顧客に対するサービスパス遅延の最小化を目的とする複数のサービスブローカが,NFVネットワーク内で互いに競合関係にある状況を想定する.道路網を対象とした,既存のゲーム理論に基づく分散型経路選択方式に倣い,NFVネットワークの輻輳情報を用いた,複数のサービスブローカによる競争的なサービスチェイニングを実現する方式を提案する.シミュレーション評価により,提案方式を用いることで,指数関数的な収束速度で低遅延なサービスパスを実現できることを示す.
小倉 亮平, 笹部 昌弘, 笠原 正治, NFVネットワークにおける複数ブローカ間での競争的サービスチェイニング方式に関する検討, 電子情報通信学会技術研究報告(RISING), October 2022.
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