Proof-of-Stake型ブロック・チェーンにおける報酬と罰則メカニズムの設計

松永 赳尭

修士学位論文, 2021

Abstract

ブロック・チェーンのコンセンサス・アルゴリズムの一つであるProof-of-Stake (PoS)では,バリデータと呼ばれるノードによる投票に基いて新規ブロックの正当性について合意を形成する.一般に,投票に基づく合意形成では不正な投票を行うバリデータの割合が増加すると,合意形成が不適切に行われる危険性が増大する.そのような理由から,PoSでは適切なコンセンサスに貢献したバリデータに報酬を与え,そうでないバリデータに罰則を与えることで,バリデータに対して適切な投票を動機づけている.本論文では,バリデータの投票行為を評価する指標として,投票実績に基づく信頼度を導入し,信頼度に基づいて報酬もしくは罰則を与えることで,バリデータが保有するStakeと呼ばれる保証金の量を変動させる方式を提案する.この方式において,罰則によって集められたStakeが報酬の原資として再配布される.これにより適切な投票をするバリデータにより多くの報酬を与えることを試みる.計算機シミュレーションにより,バリデータ信頼度の推定精度,及びバリデータが保有するStake量の変動について定量的な評価を行う.数値例より,バリデータが適切に投票する確率が動的に変化する状況下で,提案手法はバリデータの信頼度を高精度に推定できること,及び適切に投票し信頼度の高いバリデータに対して多くの報酬を与えれることが示された.

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    Text Reference

    松永 赳尭, Proof-of-Stake型ブロック・チェーンにおける報酬と罰則メカニズムの設計, Ph.D. Dissertation, 奈良先端科学技術大学院大学, 修士学位論文, March 2021.

    BibTex Reference

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        author = "松永, 赳尭",
        type = "{修士学位論文}",
        title = "{Proof-of-Stake型ブロック・チェーンにおける報酬と罰則メカニズムの設計}",
        year = "2021",
        month = "March",
        school = "奈良先端科学技術大学院大学"
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