ネットワーク上のリンクやノードに障害が発生すると,正常にネットワークが利用できなくなる場合がある.これまでに2点間の到達可能性を示す指標として,単一の経路のみを考慮した経路到達確率や任意の経路を考慮したネットワーク信頼性などが検討されている.一方で,無線通信網や道路網といったネットワークでは,経路上でリンク障害が発生した際に,始点から終点への経路を再構築することが非効率あるいは困難となる場合が生じる.このような場合,障害発生地点から終点までの迂回経路をとることで,2点間の到達可能性の向上が期待できる.ただし,迂回による経路長の増加は通信や移動における遅延の悪化を伴うため,一定の距離制約の下での迂回の可能性を考慮する必要がある.そこで本稿では,経路の新しい評価指標である距離制約付き到達可能性を提案する.これは,経路到達確率に加え,経路上での任意のリンクで障害が発生した場合,障害発生地点から終点へ向かう一定の距離制約の下での迂回路をとりながら,始点から終点に到達できる確率を表している.格子網とより現実的なネットワークを用いた数値評価より,距離制約付き到達可能性の基本特性を示すとともに,いくつかの代表的な経路に対し,提案指標と従来指標の観点から経路の良さを分析する.
大谷 珠有, 原 崇徳, 笹部 昌弘, 笠原 正治, 距離制約付き迂回可能性を含む経路の到達可能性に関する検討, 電子情報通信学会技術研究報告(コミュニケーションクオリティ研究会), 120(258), pp.10-15, November 2020.
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