VNFの多様性・冗長性に基づく可用性と資源効率を考慮したサービスチェイニングとVNF配置方式

杉原 健斗

修士学位論文, 2023

Abstract

ネットワーク機能仮想化(Network Functions Virtualization: NFV)は,ネットワーク機能を専用機器から分離し,仮想ネットワーク機能(Virtual Network Function: VNF)として汎用機器上に展開することで,運用・導入コストを削減しながら,柔軟かつ迅速なサービスの提供を可能にする.NFVネットワークにおけるネットワークサービスはサービスチェインと呼ばれる複数のVNFの連なりとして表現できる.NFVネットワークにおいて所定のネットワークサービスを実現するためには,サービスチェイン要求からサービス要件を満たすように,VNFを表す仮想ノードとVNF間を結ぶ仮想リンクからなるサービスチェイングラフを構築し,サービスチェイングラフに含まれる各仮想ノード・リンクをそれぞれ物理ノード・リンクにマッピングするVNF配置問題とサービスチェイニング問題を同時に解く必要がある.サービスチェインを構成する物理ノードやVNFが故障した場合,サービス提供の維持が困難となるため,サービスチェインの冗長化など故障に対する回復力を考慮したVNF配置とサービスチェイニングに関する研究が盛んに行われている.これまでに,個々のVNFに対する多様性や冗長性を導入することで,サービスチェインの可用性を向上する方式が検討されている.ただし,VNFの多様性や冗長性の確保とネットワーク資源の利用率との間にはトレードオフの関係がある.そこで本論文では,可用性を含むサービス要件に対し,適切なVNFの多様性・冗長性を確保するとともに,効率的なVNF配置とサービスチェイニングを同時に実現する方式を提案し,これをILPとして定式化する.数値評価により,提案方式は可用性要件を満たしながら,物理ノードの利用率を抑えるようなVNF配置とサービスチェイニングが実現できることを示すとともに,既存方式と比較して物理ノードの利用率を最大約32.93%改善しつつ,より多くのサービスチェイン要求を受理できることを示す.

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    Text Reference

    杉原 健斗, VNFの多様性・冗長性に基づく可用性と資源効率を考慮したサービスチェイニングとVNF配置方式, Ph.D. Dissertation, 奈良先端科学技術大学院大学, 修士学位論文, March 2023.

    BibTex Reference

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        type = "{修士学位論文}",
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        year = "2023",
        month = "March",
        school = "奈良先端科学技術大学院大学"
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