通信距離の最適化による無線ネットワーク容量の向上

時任 宏

学士学位論文, 2007

Abstract

無線アドホックネットワークでは,領域内におけるノード数の増加にともない,電波の衝突による通信容量の低下が問題となる.特に,送受信ノードが互いの送信電力範囲内に存在しない場合には,他のノードを中継するマルチホップ通信により情報を交換する必要があり,その場合にはホップ数の増加にともないスループットが低下してしまう.限られた電波資源を有効に活用するための方法として,ノードが送信電力を調整することにより,領域をノード間で空間的に分割することが考えられる.次ホップのノードまでの距離を通信距離とすることができれば,通信容量の大幅な改善が期待できるが,他ノードとの距離を得るためには,計測のオーバヘッド,計測精度などの観点で困難であると考えられる.そこで本報告では,すべてのノードが均一な通信距離を用いた場合に,領域全体の通信容量を最大化するような最適な通信距離について検討する.まず,我々の研究グループで提案している電波干渉のモデルに基づき,通信時に電波の影響が及ぶ範囲内に自分と最も近くに位置するノード(最近接ノード)しか存在しない場合に限り,最近接ノードとの通信が成立すると仮定する.その上で通信成立確率を最大にする通信距離を解析とシミュレーション評価することによって最適な通信距離を明らかにした.その結果,通信成立確率を最大にする通信距離は,ノード密度に依存し,通信成立確率の最大値はノード密度に依らない値をとることが明らかになった.さらに従来方式と比べて2.1倍の通信容量を実現できることを示した.

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    時任 宏, 通信距離の最適化による無線ネットワーク容量の向上, Ph.D. Dissertation, 大阪大学, 学士学位論文, March 2007.

    BibTex Reference

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