モバイルセンサネットワークにおける迅速かつ効率的な被覆のための分散協調制御

渡部 和馬

修士学位論文, 2016

Abstract

近年,防災・防犯,環境や生態系の調査などの場面においてセンサネットワークの利用が期待されている.特に,観測対象の領域が広範囲に及ぶ場合や,観測対象の位置に変化がある場合,また人手によるセンサ端末の設置が困難な状況においては,モバイルセンサ端末の利用が有効である.モバイルセンサネットワークでは,モバイルセンサ同士が自律分散的に協調動作することで,対象とする領域を迅速かつ効率的に被覆できることが望ましい.このような分散協調制御の実現に向けてゲーム理論を応用した制御が研究されている.具体的なアプローチとしては,システムの定常状態における適切な被覆をポテンシャルゲームとして設計するとともに,任意の状態から適切な定常状態へと到達可能とするための学習アルゴリズムを設計する必要がある. 本論文では,各モバイルセンサが担当領域内の重要箇所を迅速に発見するための探索フェーズと,探索フェーズによって発見された重要箇所へ移動するための収束フェーズの2フェーズからなる学習アルゴリズムを提案する.探索フェーズでは,各モバイルセンサが移動コストとセンシング結果により決まる最適停止規則に基づき,適切な期間,領域内を探索する.その後,各モバイルセンサは発見したセルの重要度情報を他のモバイルセンサと共有し,ポテンシャルゲームに基づき,領域内を効率的に被覆する.まず,探索フェーズの解析により,セルの重要度が独立かつ同一の分布に従う場合の探索時間と検知精度の関係性を考察し,適切なモバイルセンサ数を導出する.さらに,探索フェーズと収束フェーズを合わせた提案方式の評価をシミュレーションにより行う.シミュレーション評価により,センサの収束時間と検知精度の観点から,提案方式により迅速かつ効率的な被覆を実現できることを示す.

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    Text Reference

    渡部 和馬, モバイルセンサネットワークにおける迅速かつ効率的な被覆のための分散協調制御, Ph.D. Dissertation, 大阪大学, 修士学位論文, March 2016.

    BibTex Reference

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