名古屋市では,2011 年の東日本大震災以降,減災に向けた取り組みを積極的に進めており,2015 年にはその内容を「震災に強いまちづくり方針」として公表している.この文書では,沿道建物の倒壊により道路が閉塞されるリスクを道路閉塞確率として数理的にモデル化しており,その情報は避難経路計算などの避難支援にも応用されている.一方で,報告から 10 年以上が経過しており,その間の建物・道路網の変化に対する,道路閉塞確率への影響については十分に検討されていない.道路閉塞確率の評価には複数のデータが必要であり,特に建物に関しては,構造,高さ,築年数といった情報が倒壊リスクの評価に求められる.名古屋市では,建物の構造・高さを示す情報は,地理情報システム (Geographic Information System: GIS) のデータ形式として管理されており,当初の算出に用いられた 2011 年度のデータ以外に,5 年毎に 2016 年度,2021 年度のデータが整備されている.一方,建物の築年数に関しては,本来は固定資産税の算出に関係するデータとして管理されており,根拠法令に基づかない限りは取得できない情報となっている.そこで本研究では,建物に関する GIS データの 2011 年から 2021 年までの 5 年度毎の経年変化に対し,ポリゴン同士の等価判定に基づき,建物の動態(新築・継続・解体)を分析した.評価の結果,多くの建物で等価判定に基づき継続性を確認できた一方で,データ間での建物ジオメトリの誤差や建物の扱いの違いにより,正確なマッチングが困難な事例も確認された.
森本 佑哉, 名古屋市における道路閉塞確率の再調査に向けた建物状況の分析---GIS データの経年変化に基づく建物の動態調査---, 卒業研究, 関西大学, March 2026.
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