大規模ネットワークシステムにおける進化ゲーム理論を用いた自己組織型サービス選択方式

山際 慎悟

学士学位論文, 2013

Abstract

クラウドコンピューティングの利用者の増加に伴い,それを提供するデータセンタではより多くのサービスの提供が求められている.このようなサービスへのユーザからの需要はサービス毎に異なるだけでなく,時々刻々と変化する.一方で,データセンタの計算機資源は有限であることから,サービス間で需要に応じて適切に計算機資源を共有する必要がある.また,システム全体としてサービス需要が低い場合には使用する資源を抑えることによる省電力制御も重要となる.このようなサービスへの需要に応じた動的な資源割り当ての必要性に対して,データセンタでは非常に多くの計算機によりネットワークシステムが構成されているという特徴がある.そのため,全ての計算機資源を集中管理し,各サービスに資源を割り当てる方式はスケーラビリティの観点で好ましくない.そこで本研究では,システム全体を複数のエリアに分割し,全体制御,エリア制御,エージェント群からなるシステムアーキテクチャを想定する.エリアはデータセンタにおけるサーバラックと見なすことができる.全体制御においてユーザからのサービス需要を計測し,各エリアの規模に応じてサービス需要を調整,通知する.エリア制御ではこの情報と自身のエリア内のエージェント群のサービス選択状況を元に,サービス毎の需給のバランスに基づく利得情報を管理する.各エリアのエージェント群はこの利得情報を元に間接的に同一エリア内のエージェント群のサービス選択状況を把握し,それに基づき自身の従事するサービスを選択する.このサービス選択方式を進化ゲーム理論を用いて実現することにより,サービスに対する需給のバランスのとれたシステムの自己組織的な実現が期待できる.数値計算とシミュレーション評価を通して,提案手法を用いることでサービス需要やその変化に対して,適切な数のエージェント群が各サービスに動的に従事できることを示す.

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    Text Reference

    山際 慎悟, 大規模ネットワークシステムにおける進化ゲーム理論を用いた自己組織型サービス選択方式, Ph.D. Dissertation, 大阪大学, 学士学位論文, March 2013.

    BibTex Reference

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