ビットコインシステムでは,参加端末(ノード)間でPeer-to-Peer (P2P)ネットワーク(ビットコインネットワーク)を構築し,取引情報やその集まりであるブロックをやりとりする. このとき,ネットワーク上での速やかなブロックの拡散は,各ノード上で分散的に管理される取引台帳(ブロックチェーン)に対するノード間での合意形成に欠かせない. 一方で,ビットコインクライアントはオープンソースで開発されており,悪意のあるノードが改変することも可能である. 先行研究では,特定のマイナー(ブロックの生成を試みる特別なノード)が複数の攻撃者と結託し,競合するマイナーの生成したブロックの拡散を妨害する,ブロック拡散妨害攻撃のリスクが指摘されている. 本稿では,通常ノードにおける妨害攻撃の受信回避と迅速なブロック取得の実現を目指した,推定ダウンロード速度に基づくブロック取得先選択を提案する. シミュレーション評価により,ビットコインにおける継続的なブロック生成・拡散において,提案手法により,通常ノードが適切なブロック取得先ノードを速やかに選択できることを示す.
山本 将成, 笹部 昌弘, 張 元玉, 笠原 正治, ビットコインネットワークにおけるブロック拡散妨害攻撃への対抗策 ~ 推定ダウンロード速度に基づくブロック取得先選択 ~, 電子情報通信学会技術研究報告(ネットワークシステム研究会), 119(460), pp.83-88, March 2020.
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